茨城県ひたちなか市にある古社(式内社)が酒列磯前神社(さかつらいそさきじんじゃ)。斉衡3年(856年)創建という古社で、平安時代編纂の『延喜式神名帳』ではすでに名神大社に列せられています。那珂川対岸の大洗磯前神社(おおあらいいそさきじんしゃ)と同時期に創建され、深い関わりがあります。
江戸時代に徳川光圀が再興
祭神は、少名彦名(すくなひこなのみこと)で、医薬・醸造(酒造)・海上安全・豊漁・学問の神として尊崇されています。
一帯の平磯海岸(平磯白亜紀層)は、中生代白亜紀層の海岸で、東へ30~40度傾斜した岩棚が連続していますが、この岩の列が逆列(さかつら)という地名を生み、祭神の酒の神様から酒列になったと推測されています。
歴史ある古社も、中世に荒廃し、水戸藩2代藩主・徳川光圀(とくがわみつくに)と3代藩主・徳川綱條(とくがわつなえだ)が現在地に遷座し(旧社地は現在の一の鳥居近く)、再興。
拝殿向拝の懸魚はリスとブドウで左甚五郎作といわれています。
椿、タブノキ、スダジイなどからなる樹叢は茨城県の天然記念物。
西から東にのびる椿茂る参道途中、北にそれたところの鳥居が、「海の見える鳥居」なので、お見逃しなく。
参道入口の比観亭跡(ひかんていあと)は、6代藩主・徳川治保が太平洋を一望にする景勝を愛で、東屋「比観亭」を建てた場所です。
平安時代に医薬をつかさどる仏と神が習合
平安時代の『日本文徳天皇実録』、『延喜式神名帳』には薬師菩薩名神と記されていますが、大洗の磯前に降臨した神が、神仏習合で、少名彦名が薬師如来と習合し、本地仏が薬師如来とされたから(神は仏が人々を救うため、仮に現世に姿を現したという本地垂迹説が隆盛)。
当時の名前が大洗磯前薬師菩薩神社なのはそのためですが、医薬をつかさどる仏と神が習合する最初の社ともいえ、医薬の神様としての深い信仰があったことがわかります。
酒列磯前神社 | |
名称 | 酒列磯前神社/さかつらいそさきじんじゃ |
所在地 | 茨城県ひたちなか市磯崎町4607-2 |
関連HP | 酒列磯前神社公式ホームページ |
電車・バスで | ひたちなか海浜鉄道湊線磯崎駅から徒歩10分 |
ドライブで | 北関東自動車道ひたち海浜公園ICから約3.6km |
駐車場 | 100台/無料 |
問い合わせ | 酒列磯前神社社務所 TEL:029-265-8220/FAX:029-265-9290 |
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