茨城県水戸市塩崎町にある縄文前期の貝塚が大串貝塚。一帯は大串貝塚ふれあい公園として整備され、高さ15.25mの巨人像「ダイダラボウ」が立っています。奈良時代に編纂された『常陸国風土記』に貝塚、長大な人が暮らす(巨人伝説)大櫛之岡(おおくしのおか)と記された地がこの大串貝塚だと推測されています。
「ダイダラボウ」が巨人伝説を今に伝える
昭和18年の発掘調査では、貝塚からヤマトシジミ、マシジミ、ハマグリ、アサリ、カキ、アワビ、サザエが発掘され、昭和60年の発掘調査では、貝類のほか石鏃、貝輪、貝刃、釣針などの骨角器、スズキ、タイ、フグなどの魚類、イノシシ、シカなどの獣骨も発掘されています。
縄文時代、縄文海進の影響で、入江が内陸部まで入り込み、大串貝塚のある場所も涸沼川の河口部に位置していたと推測できます。
『常陸国風土記』が記された奈良時代には、すでに現在の海岸線と同じなので、内陸で大量の貝殻が出るのは、よほどの巨人が暮らしていたのだろうと考え、巨人伝説が生まれたのです(柳田国男によれば、ダイダラボウは、巨人を意味する大太郎に法師を付加した「大太郎法師」のことで、一寸法師の反対語とのこと/『ダイダラ坊の足跡』)。
地名も貝がたくさん朽ちている「大朽」が、大櫛(おおくし)に転訛したと記されています。
大串貝塚ふれあい公園として整備された園内には、復元住居、貝塚の様子を観察できる「貝層断面観覧施設」、縄文人の暮らしを紹介した「埋蔵文化財センター」(1階「縄文くらしの四季館」)などがあり、縄文人の生活や文化を垣間見ることができます。
また太古広場には巨人足跡池があり、「長さ四十余歩、広さ二十余歩なり」(『常陸国風土記』)というダイダラボウの足跡という設定。
ちなみに、昭和45年に松本清張が発表した推理小説『巨人の磯』(大洗海岸に巨人のように膨張して漂着した海外旅行中の県会議員の死体と巨人伝説を巧みに結び付けた推理小説)は、「長大な人は、岡にいながら海浜に手を伸ばして大蛤(おおはまぐり)を掘り起こし食べていた」(『常陸国風土記』)という大櫛之岡の巨人伝説を題材にしたもの。
大串貝塚ふれあい公園 | |
名称 | 大串貝塚ふれあい公園/おおくしかいづかふれあいこうえん |
所在地 | 茨城県水戸市塩崎町1064-1 |
関連HP | 水戸市公式ホームページ |
電車・バスで | 大洗鹿島線常澄駅から徒歩30分 |
ドライブで | 北関東自動車道水戸大洗ICから約1km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | 大串貝塚ふれあい公園(埋蔵文化財センター) TEL:029-269-5090/FAX:029-269-5090 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag