香川県さぬき市長尾西にある天台宗の古刹、長尾寺(四国八十八ヶ所霊場第87番札所)。天平11年(739年)、行基が本尊の聖観音菩薩を刻んで安置したのが始まりとされ、地元では「お観音さん」と親しまれています。源義経の側室・静御前が得度した寺ともいわれ、剃髪塚も残されています。
源義経の側室・静御前が得度した寺との伝承も
伽藍は戦国時代の戦火で焼失しますが、天和3年(1683年)、讃岐国高松藩初代藩主・松平頼重(まつだいらよりしげ)が堂塔を再建し、高松藩松平家の祈願寺として復興されています。
平安時代中期の住職・明印は菅原道真と親交があり、延喜2年(902年)、菅原道真が大宰府に左遷される際には志度浦に出て「不期天上一円月、忽入西方万里雲」の詩を贈って心を慰めたという故事があり、宝永7年(1710年)、天満自在天神宮が長尾寺の鎮守として創建されています。
写経を埋めた上に立つ2基の経憧(きょうどう)は、元寇の役の犠牲者を祀るものとされ、国の重要文化財。
東門は、松平家別邸だった栗林公園の正門を、大正2年に払い下げを受けて移築されたもので、さぬき市の文化財に指定。
例年1月7日の『大会陽』(だいえよう)で行なわれる「福奪い」は、入唐前の空海が行なった護摩祈祷が起源。
この寺を訪れた空海(弘法大師)は、入唐が成功するように年頭七夜に渡り護摩祈祷を行ない、丘の上から護摩符を投げ与え、人々が群がったのだとか(空海は入唐後に再訪し、「大日経」を一石に一字ずつ書写し供養塔を建立、真言宗に改宗しています)。
同じ日には大きな鏡餅を運ぶ力持ち行事も行なわれ、その餅を1月2日に搗く行事が『三味線餅つき』です。
静御前剃髪塚は、静御前が母の磯禅尼とともに、文治4年(1188年)、長尾寺で得度(出家)した後、髪を埋めたと伝わる塚です。
静御前の母は、讃岐国入野郷小磯(現・東かがわ市小磯)の出身で、静御前も吉野山で捕縛され、鎌倉から京へ、そして母の故郷へと下って仏門に入り、建久3年(1192年)、この地で没しているという伝承があります(鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』には、義経との子を出産後、京に戻ったと記されています)。
四国八十八ヶ所霊場(四国遍路) 霊場間の距離・時間
86番札所・志度寺(しどじ/香川県さぬき市志度1102)・・・ (車7km・15分/徒歩7km・1時間50分)・・・87番札所・長尾寺(ながおじ/香川県さぬき市長尾西653)・・・(車18km・40分/徒歩15.6km・5時間) ・・・ 88番札所・大窪寺(おおくぼじ/香川県さぬき市多和兼割96)
長尾寺(四国八十八ヶ所霊場第87番札所) | |
名称 | 長尾寺(四国八十八ヶ所霊場第87番札所)/ながおじ |
所在地 | 香川県さぬき市長尾西653 |
関連HP | 長尾寺公式ホームページ |
電車・バスで | ことでん長尾駅から徒歩5分 |
ドライブで | 高松自動車道志度ICから約7km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 長尾寺 TEL:0879-52-2041 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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