志度寺(四国八十八ヶ所霊場第86番札所)

志度寺(四国八十八ヶ所霊場第86番札所)

香川県さぬき市志度にある真言宗善通寺派の寺、志度寺(しどじ)。山号は補陀落山で、四国八十八ヶ所霊場第86番札所。『志度寺縁起絵』によれば、推古天皇の頃、7世紀の創建とされる古刹です。室町時代の作である曲水式庭園は、京の竜安寺石庭で知られる室町時代に細川勝元が完成させたもの。

藤原不比等の開基と伝わる名刹

創建は古く、寺伝では、推古天皇33年(625年)、海人族(注/古代に玄界灘を制したと推測される集団が古代海人族)の凡園子(おおしそのこ=文殊菩薩の化身ともいわれますが、実在性を含め定かでありません)が霊木を刻み、十一面観音像を自刻して堂舎を建てたのが始まり。
藤原不比等(ふじわらのふひと)が妻の墓を建立し「死度道場」と名付けたのが志度の名の由来に(平安時代に、志度湾が補陀落浄土に通じるという信仰が生まれました)。
持統天皇7年(693年)、不比等の子・藤原房前(ふじわらのふささき)と行基が寺を拡張、学問の道場となっています。

室町時代には守護・細川家の保護を受けて繁栄しますが、戦国時代の戦火で焼失。
江戸時代、高松城と丸亀城を築城した生駒親正(いこまちかまさ)の支援を受け、さらに高松藩初代藩主・松平頼重(まつだいらよりしげ)により再興されています。

志度寺の閻魔大王は、本尊の十一面観音(国の重要文化財)と同体とされ、頭上に十一面の仏面を頂く姿で、極楽往生・蘇生の閻魔と呼ばれています。
閻魔堂に安置されている閻魔大王像は、室町時代の作で、見る人によって優しい顔、怖い顔、様々に見えるのだとか。

見事な庭園にも注目

志度寺(四国八十八ヶ所霊場第86番札所)
重盛三玲の作庭「無染庭」

寺宝も数多く、『絹本著色志度寺縁起絵』をはじめ、高松藩初代藩主・松平頼重が寄進した仁王門と本堂、木造十一面観世音菩薩両脇士立像などが国の重要文化財。
志度寺の縁起、藤原氏にまつわる伝説、海底に奪われた宝物をとりかえす海人の伝承(「海女の玉取り伝説」)を素材にした能楽『海人』(『海士』・あま)の舞台で、藤原房前が母のために建立したと伝えられる五輪塔群「海人の墓」が20基ほど並んでいます。

海士の命日である7月16日には、『志度寺の十六度市』が開催され、本堂の本尊と脇仏が御開帳となります。

また、浄瑠璃の『花上野誉の石碑』(志渡寺の段・しどうじのだん)の舞台でもあり、映画全盛期の昭和30年代には高橋英樹・和泉雅子主演の映画『エデンの海』(昭和38年)、浅丘ルリ子主演の『娘巡礼流れの花』(昭和31年)のロケにも使われています。

室町時代の作である曲水式庭園は、京都の竜安寺石庭で知られる細川勝元が完成させたもの。
書院の正面に作庭された「無染庭」(むせんてい)は、白砂と7つの石からなる枯山水式庭園で、志度の海と沖合の島を表しています(昭和37年、重盛三玲の作庭)。

志度寺(四国八十八ヶ所霊場第86番札所)
室町時代の曲水式庭園

四国八十八ヶ所霊場(四国遍路) 霊場間の距離・時間

85番札所・八栗寺(やくりじ/香川県高松市牟礼町牟礼3416)・・・ (車7km・15分/徒歩6.5km・2時間)・・・86番札所・志度寺(しどじ/香川県さぬき市志度1102)・・・(車7km・15分/徒歩7km・1時間50分) ・・・ 87番札所・長尾寺(ながおじ/香川県さぬき市長尾西653)

志度寺(四国八十八ヶ所霊場第86番札所)
名称 志度寺(四国八十八ヶ所霊場第86番札所)/しどじ
所在地 香川県さぬき市志度1102
関連HP 四国八十八ヶ所霊場会公式ホームページ
電車・バスで JR志度駅から徒歩10分
ドライブで 高松自動車道志度IC
駐車場 50台/無料
問い合わせ 志度寺 TEL:087-894-0086
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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