神奈川県足柄下郡箱根町にある古社が、箱根神社。奈良時代末期の天平宝字元年(757年)に全国各地をまわっていた僧・万巻(まんがん)が、箱根山中にあった駒ヶ岳の神仙宮、般若寺、神山の神宮の3寺社を統一し祀ったという、箱根権現が前身。源頼朝も尊崇したことで知られています。
明治初年の神仏分離までは、箱根三所権現
もともとは、箱根最高峰の神山(神が降臨する所)を遥拝できる駒ヶ岳山頂に神仙宮を開き、神山を天津神籬(あまつひもろき=神が降臨する地)とし、駒ヶ岳を天津磐境(あまついわさか=古代における神霊祭祀の施設)として祭祀したのに始まります。
現在も駒ヶ岳の山頂には、箱根神社の奥宮、箱根元宮が鎮座し、毎月1日・24日は『月次祭』が執り行なわれています。
その後、鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)の神宮寺を建立した万巻が、箱根山の山岳信仰を束ねるという朝廷の命を受け、箱根山に入山し、箱根三所権現を感得。
夢告で、現社地に神仏習合の社殿を建立したのが、里宮としての始まりです。
万巻上人は村人たちを苦しめていた芦ノ湖の毒龍(九頭龍)を法力により調伏し、湖畔に、九頭龍権現(現・九頭龍神社)も創建しています。
箱根山も、奈良・吉野山と同様に、古来からの神道と山岳信仰に、修験道、仏教が習合した箱根三所権現(文殊菩薩・弥勒菩薩・観世音菩薩が本地仏)を祀り、箱根権現社とその別当(管理する寺)の箱根山金剛王院東福寺が建っていました。
石橋山の戦いで敗れた源頼朝は、箱根権現社に逃げ込んで匿われたことから、走湯山権現(現・伊豆山神社)、箱根権現の伊豆箱根両所権現詣でを行ない、その後の東(あずま)の武家の習わしにもなったのです(今も関東総鎮守といわれるのはそのため)。
東海道が箱根の関所を越えるルートとなると、箱根権現は、旅の祈願所、そして伊勢参りなど、庶民の参詣場所としても繁栄を見せます。
徳川家康も駿府に隠居した晩年、慶長17年(1612年)、大規模な社殿造営を行なっています。
明治初年の神仏分離、廃仏毀釈、修験道の廃絶で箱根神社へと変わっていますが(箱根山金剛王院東福寺は廃寺に)、今も箱根山の神域であることは変わりありません。
箱根神社・箱根元宮・九頭龍神社の箱根三社参りもおすすめ
元箱根からの参道途中には宝物殿があり、重要文化財の『箱根権現縁起絵巻』や、関東最古の肖像彫刻、万巻上人座像などが置かれ、見学が可能。
社殿裏手にはヒメシャラの純林があり、6月下旬~7月上旬には白い花をつけ、見事です。
純林内を横切る北参道は散策にも絶好。
時間があれば、箱根神社、九頭龍神社、箱根元宮(奥宮)を巡拝するのもおすすめです(箱根三社参り)。
13日の九頭龍神社月次祭に限り、元箱根桟橋〜九頭龍の森桟橋に参拝船が運航(1往復)。
九頭龍神社の新宮が箱根神社境内にあり、通常は新宮への参拝となります。
箱根神社・箱根元宮・九頭龍神社三社の御守と御神印は、箱根神社で授与。
ユニークな祭典としては、1月5日の『湖上安全祈願祭(湖水開き)』。
装束を着けて水上スキーで湖水を祓う湖上清祓は、芦ノ湖が日本の水上スキー発祥の地であることに由来します。
6月13日は、『九頭龍神社(本宮)例祭』、7月31日~8月6日は、『芦ノ湖夏まつりウィーク』(7月31日に『湖水祭』で、元箱根湾で花火大会開催、8月1日に例大祭)が斎行されます。
被写体として人気の芦ノ湖の水中鳥居は、前年のサンフランシスコ講和条約締結を記念し、昭和27年に建立。
「平和」と書かれた額は、箱根大神(ハコネノオオカミ)御鎮座1200年と東京オリンピック開催を記念して昭和39年に掲げられたものです。
箱根神社 | |
名称 | 箱根神社/はこねじんじゃ |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80-1 |
関連HP | 箱根神社公式ホームページ |
電車・バスで | 箱根登山鉄道箱根湯本駅から箱根登山バス、伊豆箱根バス箱根町行きで33分、元箱根下車、徒歩10分 |
ドライブで | 小田原厚木道路箱根口ICから約14km |
駐車場 | 70台/無料 |
問い合わせ | 箱根神社 TEL:0460-83-7123/FAX:0460-83-6669 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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