神奈川県横浜市西区の野毛山公園は、近代水道発祥の地。野毛山公園内にある旧野毛山配水池は、関東大震災後の復興と、横浜市の人口増加に伴って昭和2年に完成、昭和5年に運用を開始した配水池で、昭和42年に4万tの新野毛山配水池が完成したことを受け、平成7年に廃止された施設です。現在はフェンス内は立入禁止です。
昭和2年完成の流入弁室が現存
英国公使パークスは、居留地に居住する人たちの要望として、コレラ対策としても重要な、上水道の整備を神奈川県令・沖守固(おきもりかた/明治14年神奈川県令に就任)に要望。
パークスは、香港で広東水道と香港水道の水道敷設の実績があるイギリス陸軍工兵少将のヘンリー・スペンサー・パーマー(Henry Spencer Palmer)を紹介します。
パーマーは、明治16年、居留地などに水を供給するのに野毛山に浄水場を築くことが最適ということを神奈川県に提案。
道志川が相模川に合流した神奈川県津久井郡三井村(相模原市緑区三井、現在の津久井湖)で、取水した水を48km先の野毛山浄水場(標高50.6m)に送り、ここから居留地などに上水を給水したのです(明治30年に相模川の鮑子取水堰に変更)。
この工事を監督したのもパーマーで、野毛山が近代水道発祥の地となっているのです(パーマーは明治23年、日本人女性・斉藤うたと再婚しますが、明治26年、脳卒中で没)。
関東大震災で野毛山浄水場は全壊し、それに代わって完成したのが現存する旧野毛山配水池です。
設計者に関しては史料が現存せず、残念ながら不明。
2基のドーム型の建物は、内部がうずまき構造になった流入弁室です。
旧野毛山配水池の敷地内は耐震の問題で立ち入りができませんが、すぐ南側の野毛山公園展望台から眺望できます。
旧野毛山配水池の北側には野毛山動物園があり、無料で入園できます。
旧野毛山配水池 | |
名称 | 旧野毛山配水池/きゅうのげやまはいすいち |
所在地 | 神奈川県横浜市西区老松町21 |
電車・バスで | 京浜急行線日ノ出町駅から徒歩8分 |
ドライブで | 首都高速横羽線みなとみらいランプから約1.5km |
駐車場 | 野毛山有料駐車場(110台/有料) |
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