丸形で中央に市章の入ったマンホールのデザインはおもにイギリスを参考に考案され、やがて「東京市型」と「名古屋市型」が二大勢力を形成します。
西のルーツ的な存在が名古屋市なのです。
名古屋市のマンホールは、「東京市型」と対をなすJIS規格蓋(中央に丸八の市章=尾張徳川家で合印として使用されていた「丸に八の字」印)、名古屋市上下水道局キャラクターをデザインした「水上を泳ぐアメンボ」、名古屋市上水道100周年記念で制作の「堀川にかかる納屋橋」、「世界デザイン博覧会」にあわせてデザインされた名所紹介型などがあります。
そのうちで、ここで紹介するのは地域活性につながる「世界デザイン博覧会」バージョンです。
「世界デザイン博覧会」バージョンに注目
平成元年に、白鳥会場(名古屋市熱田区白鳥公園)、名古屋城会場(中区名古屋城・名城公園)、名古屋港会場(港区名古屋港)の3会場で行なわれた「世界デザイン博覧会」。『ひと・夢・デザイン-都市が奏でるシンフォニー』をテーマに、平成元年7月15日から135日間にわたって開催されました。このときに名古屋市水道局も、マンホールのデザインを見直して、名古屋駅前や伏見、栄などの繁華街に設置のマンホールを「世界デザイン博覧会」バージョンに変更しました。
この「世界デザイン博覧会」バージョンのマンホールは、名古屋の名所と市章・市の花の組み合わせです。
市章の「丸八マーク」を中心に左から時計回りに「名港トリトンと名古屋港」、「宮の渡し(熱田神宮)と新幹線」、「名古屋城とテレビ塔」、「東山動物園・東山タワーと五重塔(日泰寺・興正寺)」、「名古屋国際会議場とコンビナート・工場群」、外周にに市の花「ユリ」というデザインです。名古屋港側には波マークがあり、太平洋フェリー(名古屋〜仙台〜苫小牧)と思われるフェリーの姿も。
まずは中央の市章、丸八。よ~く見ると善光寺の山門同様に2匹の鳩で八の字がデザインされています。
その1 名港トリトンと名古屋港
名港トリトンは伊勢湾岸道路に架かる名港西大橋、名港中央大橋、名港東大橋という3つの橋の総称です。名古屋人が「めいこう」(名港)と呼ぶ名古屋港は、輸出額日本一の貿易港。名古屋港水族館、名古屋港ポートビル、南極観測船ふじなどのある「ガーデン埠頭」が観光の中心になっています。クルーズ船もこの岸壁に着岸します。
その2 宮の渡し(熱田神宮)と新幹線
東海道は熱田神宮の門前町でもある熱田宿(名古屋市)と桑名城下の桑名宿(三重県桑名市)の間は、伊勢湾の海上交通に委ねていました。これが七里の渡し(宮の渡し)で、熱田神宮近くには、宮の渡し公園が整備され、往時に灯台の機能を果たした常夜灯も復元されています。
その3 名古屋城とテレビ塔
名古屋城とテレビ塔はともに名古屋のシンボル的存在。名古屋人に名古屋のシンボルを挙げてもらえば、この2つと東山動植物園が登場。
名城公園の隣に建てられた名古屋市下水道科学館には、平成元年に開催された世界デザイン博覧会で展示された全国25市町のマンホールの蓋がずらりと並べられています。
その4 東山動物園・東山タワーと五重塔
名古屋市の東部、東山周辺の丘陵地帯は文京地帯になっています。東山動植物園、東山タワーなどのほか、五重塔で有名な八事・興正寺、覚王山日泰寺などがあります。
その5 名古屋国際会議場とコンビナート・工場群
名古屋国際会議場は、デザイン博の会場にもなった白鳥公園内にある大規模多目的ホール。世界デザイン博覧会で建設・設置された白鳥センチュリープラザを再利用したものです。
その6 名古屋港に浮かぶ太平洋フェリー
マンホールの絵柄で、名古屋港の海上に描かれている大型客船。見落としてしまいがちなのですが、実はこのマンホールの芸コマな部分で、太平洋フェリーにそっくり(深読みしすぎで名古屋港のコンテナ船かもしれませんが)。名鉄系の太平洋フェリーは日本一(ひょっとすると世界一)豪華なフェリーを仙台経由で苫小牧(北海道)まで運航しています。上の写真と見比べて下さい。
当然、名古屋人の自慢なわけで、ニッポン旅マガジン取材班は、こっそりと忍ばせたと見ています。
その7 名古屋市の花・ユリ
名古屋市の花、ユリは、昭和25年4月の「緑の週間」に、新聞社と共催で、一般公募、選定したものです。
このマンホールには、もうひとつ、見逃せない仕掛けが。
マンホールの上に小さなNのマーク。
これは、東西南北を表しています。必ずその方向を示す位置にちゃんと設置されているとかで、名古屋市のこのマンホール、なかなかのスグレものです。
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