三重県桑名市多度町、多度大社参道にある老舗料理店で、池波正太郎の『食卓の情景』にも登場の鯉料理の名店が大黒屋。創業は江戸中期にまで遡り、江戸時代には多度大社への参拝客や旅人を相手にした 茶屋・旅籠(はたご)として栄え、江戸時代後期に始めたのが鯉料理などの川魚料理です。
池波正太郎も絶賛の鯉料理を味わう
風雅な庭園は、伊勢参宮、多度の権現(現・多度大社)に参詣する旅人を出迎えた旅籠時代の名残。
木曽三川(きそさんせん)にある船着場で水揚げされる豊富な川魚に目をつけ、鯉料理を始めたのも、鯉が滋養強壮にいい食べ物だったから。
昭和30年頃までは木曽三川産の使っていましたが、今は他県産を仕入れ、「仕入れた鯉は池に放して、2ヶ月の間餌を与えずに泳がせて臭みを抜いています。池で泳がせることで、臭みも取れ、身がきれいな白色になるのです」とは第13代目となる当主・蒔田誠治さんの解説。
鯉を泳がせる池の水は、往時と同じ、多度山の清冽な伏流水。
まさに「鯉料理は水が命」(蒔田誠治さん)なのです。
風雅な造りの庭園、落ち着いた和室と地元の人は料亭として重宝し、鯉づくしの料理はもちろん、昼には手軽なランチも用意。
鯉づくしでは、鯉のうろこのから揚げ、鯉の南蛮漬け、鯉の尾びれの刺身(あらい)など専門店ならではのメニューも。
鯉のあらいはわさび醤油で味わいます。
京都の西京味噌による鯉こくも美味。
料亭風の鯉料理の数々ですが、臭みがまったくない、上品な味わいに、「鯉料理のイメージが変わった」という人も多いのだとか。
「私もずいぶん、鯉料理を食べてきたが、これほどに多彩な料理ができようとは思ってもいなかった。おそらく、この『大黒屋』にしてはじめて出来得る『芸』なのではあるまいか。こころみに、献立をしるしておこう。すべてが鯉料理である。まず、鯉の皮をそぎとり、はるさめと共に酢の物にした前菜が出た。鯉の皮が、これほど脂濃いものとは知らなかった。うまい。つぎに。アバラ肉をたたいて団子にし、これを揚げたものと、小さな魚田二片と、雄の鯉の肝の煮つけが出た。私はこの一皿に、もっとも感じ入った。野趣にあふれていながら調理の洗練が長い伝統に培われたものであることが、よくわかる」(池波正太郎『食卓の情景』)。
食通の池波正太郎が「美味しすぎて二日連続で通った」という大黒屋の鯉料理は、お客さんの到着を待って調理を始めるので、時間に余裕を持って来店を。
天保時代の什器や江戸時代の双六盤などを保存展示し、「大黒屋旅の資料館」(桑名まちかど博物館)としても機能しています。
大黒屋 | |
名称 | 大黒屋/だいこくや |
所在地 | 三重県桑名市多度町柚井1799 |
関連HP | 多度町観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄養老線多度駅から三重交通バス美鹿行きで5分、多度大社前下車または多度駅から徒歩15分 |
ドライブで | 東名阪自動車道桑名東ICから約7km |
問い合わせ | 大黒屋 TEL:0594-48-2018/FAX:0594−48−5602 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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