三重県三重郡菰野町から四日市市智積町(ちしゃくちょう)にかけて流れる、灌漑、生活用水の用水路が智積養水(ちしゃくようすい)。江戸時代初期にはすでに開削されていたという歴史ある用水で、環境省の名水百選(昭和の名水百選)にも選定されています。
智積町内では用水に鯉が泳ぐ!
御在所岳だけを源とする三滝川の伏流水が湧き出る蟹池(菰野町神森)が水源。
490m地点で水を二分八分(にぶはちぶ)に分ける分水点を通り、智積養水本流は天井川の金渓川(かんたにがわ)の川底を三十三間筒(さんじゅうさんげんどう)と呼ばれる地下トンネルで抜けて、智積町内を通り、矢合川(やごうがわ)に注ぐ1.78kmの用水路です。
途中の智積町内(旧智積村)では鯉が放たれ、風雅な雰囲気に。
『明治十七年調べ・伊勢国三重郡智積村地誌』に正徳元年(1711年)、四日市陣屋代官・石原清左衛門正利が、官費で三十三間筒を伏せ替えたと記されているので、18世紀初頭にはすでに用水が完成していたことがわかります。
地元郷土史愛好者の「桜郷土史研究会」は、長年に渡って智積養水を調査、研究し、西園寺家の荘園・智積御厨(ちしゃくみくりや)の全盛期で、財力もあった15世紀末頃の開削ではないかと推測しています。
水不足で悩まされた智積地区の水田50町歩(50ha)を潤す貴重な用水路として今も機能しています。
昭和30年代までは、この用水を米を研ぐなどの生活用水として利用していました。
農業、生活を養うということで用水ではなく、養水として地元自治会や子供会が今も環境保全に尽力し、智積町内では「山陰・萩のような景観」を生み出しています。
三重県下で環境省の名水百選に選定されるのは、天の岩戸(恵利原の水穴/志摩市)と智積養水の2ヶ所です。
智積養水 | |
名称 | 智積養水/ちしゃくようすい |
所在地 | 三重県四日市市智積町6389 |
関連HP | 四日市観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄桜駅から徒歩すぐ |
ドライブで | 東名阪自動車道四日市ICから約1.5km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 桜地区市民センター TEL:059-326-2051 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag