岡山県岡山市北区、岡山城の西に昭和54年、日本初のオリエント文明専門美術館として開館したのが岡山市立オリエント美術館。古代オリエントとは現在のイラン、イラク、シリア周辺で、東西文化の交流地・文明発祥の地。出土した装身具や土器、ガラス、モザイク、青銅器など、4200点余りを収蔵展示しています。
文明発祥の地・古代オリエントの魅力が結集
「オリエント」という言葉は、ラテン語で太陽が昇る方向、東方を意味する「oriens」に由来。
日本におけるオリエントの定義は、ユーラシアにおける中国文化圏と欧州文化圏の狭間の地域のことです。
つまり、中心にメソポタミア(およそ現・イラク共和国)があり、西はエジプトを含む北アフリカ、北はアナトリア(現・トルコ共和国)、南はアラビア半島、東はアフガニスタンあたりまでのエリアです。
岡山市立オリエント美術館は、安原真二郎氏(大紀産業の創業者、岡山学園の初代理事長)から寄贈されたコレクションが1947点が中心となっていますが、学術的に系統だてて収集され、かつ大変わかりやすく解説されているのが特徴。
安原真二郎氏は、昭和42年7月、岡山県総合文化センター(現・天神山文化プラザ)で開催された巡回展『美術の誕生 メソポタミア展』でイラク国立博物館から出品された古代オリエント美術を鑑賞し、「目の覚めるような感銘」を受け、東京大学名誉教授・江上波夫(当時、イラク、イランで遺跡の発掘調査を指揮)と、東京大学東洋文化研究所教授・深井晋司の指導のもとで美術品の収集を開始。
その年、江上波夫教授が引率する『オリエントの旅』に参加し、江上教授の薦める土器数十点を購入下のがコレクションの始まりです。
安原真二郎氏は、社会貢献として日本のオリエント研究の役に立ちたいとの思いで収集を開始しますが、やがて日本初のオリエント美術館を作りたい、という目標が生まれます。
安原さんの熱意は古代オリエント学者でもある三笠宮崇仁親王殿下の聞き及ぶこととなり、「オリエント美術館設立準備委員会」の会合には、三笠宮殿下も臨席。
こうして安原真二郎氏が寄贈した1947点のコレクション(形式的には学校法人岡山学園の寄贈)を受けて、昭和54年4月8日、岡山市立オリエント美術館が誕生したのです。
その後の収集活動で、現在ではアッシリア・レリーフ「有翼鷲頭精霊像浮彫」(イラク・ニムルド出土、紀元前9世紀)など5000点ほどの収蔵品を有しています。
常設展のほか、特別展と企画展が各年1~2回、 ギャラリー・コンサートや 子供向けのジュニア・オリエント教室なども開催。
また2階のカフェ・イブリクでは、アラビックコーヒーや手作りケーキでひと息つくことができます。
岡山市立オリエント美術館の設計は、岡山県立美術館と同じ、建築家・岡田新一です。
岡山市立オリエント美術館の近隣には、岡山県立美術館、夢二郷土美術館本館、岡山県立博物館、林原美術館と、岡山の歴史や文化、美術を展観するミュージアムが複数集まり、一帯は「岡山カルチャーゾーン」と呼ばれています。
画像協力/岡山県観光連盟
岡山市立オリエント美術館 | |
名称 | 岡山市立オリエント美術館/おかやましりつおりえんとびじゅつかん |
所在地 | 岡山県岡山市北区天神町9-31 |
関連HP | 岡山市立オリエント美術館公式ホームページ |
電車・バスで | JR岡山駅から徒歩15分 |
ドライブで | 山陽自動車道岡山ICを約8km |
駐車場 | 城下地下駐車場(174台/有料)、市営天神町駐車場(170台/有料) |
問い合わせ | 岡山市立オリエント美術館 TEL:086-232-3636/FAX:086-232-5342 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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