日本最古の鉄道(私鉄)は、明治14年に設立された日本鉄道(半官半民)で、現在の東北本線や高崎線、常磐線などを敷設しましたが、後に国有化されています。国有化されずに私鉄のまま現存している鉄道で日本最古は、南海電気鉄道で、前身の阪堺鉄道が明治18年に創業しています。
四国の伊予鉄道は、合併のない日本最古の私鉄
JRグループも分割民営化後は私鉄(株式会社)なので、最古といえるかもしれませんが、設立時に国有鉄道だったためここでは除外します。
日本で最も古い民間鉄道事業者としては、明治13年12月28日設立の東京馬車鉄道。
明治15年6月25日に、新橋停車場と日本橋の間を結んで馬車鉄道の運行が始まっています。
道路に線路を敷設し、客車を馬に引かせるもので、明治36年に東京電車鉄道として電化され、明治44年に東京市電(東京市電気局)に変わり、現存していません。
現存する最古の私鉄となるのが阪堺鉄道を前身とする南海電気鉄道で、日本鉄道、東京馬車鉄道に次ぐ歴史を有し、明治18年12月29日、阪堺鉄道・難波駅 〜大和川駅(後に廃止)間開業に始まります。
明治31年10月1日、阪堺鉄道は、南海鉄道(明治28年8月25日設立)に事業譲渡していることから、現在の南海電気鉄道南海本線の一部が日本最古の鉄道路線ということになります。
南海電鉄は路線買収ということを考慮すれば、明治20年9月14日設立の伊予鉄道が、合併のない日本最古の私鉄ということになります。
明治21年10月28日、松山駅(現・松山市駅)〜三津駅(みつえき)間が開業、実はこれが四国最初の鉄道で、夏目漱石の小説『坊っちゃん』(明治39年)の中で、松山に赴任した坊っちゃんも船を降りて立ち、「マッチ箱の様な汽車」に乗って松山入りしています。
「マッチ箱の様な汽車」と表現したのは軌間(線路幅)が762mm(2フィート6インチ)の軽便鉄道(けいべんてつどう)だったから(昭和6年5月1日に1067mm軌間に改軌)。
伊予鉄道は、平成30年4月1日に伊予鉄グループの持株会社移行で、伊予鉄グループとして現存最古の民営鉄道会社ということになります。
創業時から社名変更、持株会社化を経験していない会社で最も歴史があるのは、東武鉄道。
明治30年11月1日創立、明治32年8月27日北千住駅〜久喜駅間(現在の伊勢崎線の一部)が開業しています。
浅草がターミナル駅として選ばれたのは、当時、東京一の繁華街だったからです。
明治時代に創業し、現在も社名が変わっていないのは、東武鉄道のほか、近江鉄道(明治29年6月16日創立、明治31年6月11日彦根駅〜愛知川駅間開業)、岡山電気軌道(明治43年6月9日創立、明治45年5月5日、内山下線・路面電車の営業開始)、島原鉄道(明治41年5月5日創立、6月20日 島原鉄道線開業)の4社しかありません。
このうち近江鉄道は令和6年4月1日、鉄道資産を近江鉄道線管理機構に移管し、鉄道の運行だけに特化した上下分離方式の第二種鉄道事業者になっていて、ローカル私鉄経営の難しさを象徴しています。
日本最古の私鉄は!? 意外にも近畿と四国に! | |
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