富田駅(三重県四日市市)から西藤原駅(いなべ市)を結ぶ三岐鉄道三岐線。その先の岐阜県を目指したので三岐鉄道と名付けられたローカル私鉄ですが、2024年にJR東海から譲渡されたのがJR東海211系5000番台・5600番台。これが改造後に「三岐鉄道5000系」となって活躍中です。
JR東海211系が、三岐鉄道で活躍中!
三岐鉄道は、JR東海211系5000番台・5600番台の3両編成30両(うち営業用24両)という大量の授受を受け、改造を施し、三岐線用に新型車両「三岐鉄道5000系」として2025年5月にデビューを果たしています。
改造されたのは、車内の扉上部(3ヶ所)に停車駅や乗換案内等を表示するディスプレイを設置、非常通報装置(通話型)を車内に1ヶ所設置(車椅子スペースにも設置)、座席や床面を一新し、LED化により明るく快適な車内環境を実現、日本語、英語による自動放送を実施し、始発発車後と終点到着前に、車内メロディを導入という点です。
この「三岐鉄道5000系」の大量導入で、既存車両は順次廃車となる見込み。
JR東海211系は、国鉄211系電車がルーツで、国鉄末期に登場した軽量オールステンレス車輌。
国鉄の分割・民営化後にはJR東日本、JR東海、JR西日本でも製造されました。
5000番台はJR東海により1988年〜1991年に製造されたもので、3両〜4両編成で運転されていました。
三岐鉄道が導入の5000番台は、1989年の製造です。
名古屋・静岡都市圏での通勤通学対応のため、オールロングシート、前面貫通扉と運転室助士席側の窓を下方に拡大して先頭部の眺めが良くなっています。
国鉄時代の名残りある車輌が、地方私鉄で新たな活躍の場を得たわけですが、ローカル地鉄らしさが消えることにも。
これまで三岐鉄道では、西武701系、西武新101系、西武401系と西武鉄道から譲渡された車輌が活躍、首都圏の鉄道ファンにも人気でしたが、今後は「なつかしい西武鉄道の電車」には乗れなくなることに。
三岐鉄道は藤原岳で産する石灰岩を、富田駅からJR線に入る貨物輸送を行なっており、JRの車両も規格面で問題なく走行できるというメリットがあります。
西武鉄道から導入すると先頭車などの大幅な改造が必要なケースもありましたが、211系は、必要最低限の改造で済ませられ、エコという面もあったと推測できます。
塗装する必要が無く、腐食にも強い、そして一気に置き換えることで、維持管理の効率化が図られて、三岐鉄道が一気に211系王国になったのです。
ちなみにJR東海では、新型車両315系の導入で、211系からの置き換えが進み、千葉県の流鉄も2025年7月、JR東海から211系6000番台4編成8両を譲受しています。
三岐鉄道の「西武車輌王国」が終焉! 「JR東海211系王国」が誕生 | |
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