元旦の5:30、天皇陛下が皇居・神嘉殿(しんかでん)の南側の庭に設けられた仮屋の中に入り、天地四方の神祇を拝する儀式が四方拝。現在の憲法下では、天皇が国家安寧、五穀豊穣を祈願するあくまでも皇室の私的な行事ですが、ここで遥拝される神社は、まさに日本を代表するパワースポットといえるでしょう。
東国の3社、東海の1社、京の3社を遥拝
神宮(伊勢神宮)の皇大神宮・豊受大神宮の両宮に向かって拝礼した後、天神地祇(てんしんちぎ= 天つ神と国つ神。つまりはすべての神々)、神武天皇陵・先帝三代の各山陵、そして常陸国一之宮の鹿島神宮、下総国一之宮の香取神宮、武蔵一宮氷川神社、熱田神宮、山城国一之宮の賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ=上賀茂神社)と賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ=下鴨神社)、石清水八幡宮です(順番は便宜的に東から西へ表記)。
東国の鹿島神宮、香取神宮は、東北への睨みを利かして大和朝廷が築いたと推測できる社。
まだ都(皇居)が京にあった平安時代に宮中で始まった行事なので、そういった時代性、政治性をも感じ取ることができます。
鹿島神宮
所在地:茨城県鹿嶋市宮中2306-1
祭神:武甕槌大神(たけみかつちのおおかみ)=東国の蝦夷(えみし)に対する平定神
創建:神武天皇元年(社伝)/大化5年(649年)に神郡として香島郡(鹿島郡)が成立
社格:式内社(名神大社)、常陸国一之宮/元旦に天皇が拝む四方拝の一社=東国随一の名社
香取神宮
所在地:千葉県香取市香取1697
祭神:経津主大神(ふつぬしのおおかみ)=東国の蝦夷(えみし)に対する平定神
創建:神武天皇18年(社伝)/『常陸国風土記』(8世紀初頭成立)に「香取神子之社」と記載
社格:式内社(名神大社)、下総国一之宮/元旦に天皇が拝む四方拝の一社=鹿島神宮と対を成す東国随一の名社
武蔵一宮氷川神社
所在地:埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1-407
祭神:須佐之男命 (すさのおのみこと)、稲田姫命 (いなだひめのみこと)、大己貴命 (おおなむちのみこと)
創建:孝昭天皇3年(社伝)/无邪志国造(むざしのくにのみやつこ/无邪志=武蔵)は出雲族を引き連れて移住し武蔵国の東部を開拓、祖神を祀る
社格:式内社(名神大社)、武蔵国一之宮、氷川神社の総本社
熱田神宮
所在地:愛知県名古屋市熱田区神宮1-1-1
祭神:熱田大神(あつたのおおかみ)/三種の神器(天照大神が天孫降臨の際に瓊瓊杵尊に授けた神器)のひとつ・草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)がご神体
創建:仲哀天皇元年(社伝)
社格:式内社(名神大社)、尾張国三之宮
上賀茂神社(賀茂別雷神社)
所在地:京都府京都市北区上賀茂本山339
祭神:賀茂別雷大神 (かもわけいかづちのおおかみ)
創建:天武天皇7年(678年)
社格:式内社(名神大社)、山城国一之宮、二十二社(上七社)の一社
下鴨神社(賀茂御祖神社)
所在地:京都府京都市左京区下鴨泉川町59
祭神:玉依姫命 (たまよりひめのみこと)、賀茂建角身命 (かもたけつぬみのみこと)
創建:不詳
社格:式内社(名神大社)、山城国一之宮、二十二社(上七社)の一社
石清水八幡宮
所在地:京都府八幡市八幡高坊30
祭神:誉田別命 (ほんだわけのみこと)、比咩大神 (ひめおおかみ)、息長帯姫命 (おきながたらしひめのみこと)/平安京の王城守護鎮護の神
創建:貞観2年(860年)
社格:二十二社(上七社)の一社、伊勢神宮と並び天皇家の二所宗廟
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