上賀茂神社(賀茂別雷神社)

上賀茂神社は、正式名を賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)といい、世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産。平安遷都以前に、京で大きな勢力を持っていた賀茂氏の祖先を祀る神社で、遷都後は賀茂御祖神社(下鴨神社)とともに王城鎮護の役割を担いました。元旦に天皇が諸国の神社などを遥拝する四方拝の一社にもなっています。

京都最古の神社は、雷神を祀る、厄除・方除の守り神

京都最古の歴史を有する神社のひとつで、祭神は賀茂氏の祖神、賀茂別雷大神 (かもわけいかづちのおおかみ)。
下鴨神社(賀茂御祖神社)とともに山城国(やましろのくに)一之宮。

上賀茂神社の北北西2kmほどに標高301.5mの神山があり、山頂にある磐座(いわくら)が祭神の賀茂別雷大神が降臨したと伝えられる降臨石。
神社境内の東に流れる御物忌川(おものいがわ)と西の御手洗川(みたらしがわ)が二の鳥居の奥「細殿」の背で合流し、三角形の斜面地に社殿群が広がり、神山を遥拝する形で本殿が鎮座しています。
2つの川が合流してから神域を外れるまでの清流が、有名な「楢の小川」(ならのおがわ)です。
「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」(藤原家隆/『新勅撰集』)。

細殿前の円錐形の砂は、神様が降臨する地

雷(いかづち)の力であらゆる災難を取り除くという「厄除け」、鬼門の守り神ということから「方除け」に御利益大。

二の鳥居をくぐった先、細殿(ほそどの)の前に配された円錐に盛られた一対の白い砂山が「立砂」(たてずな)。
よく見ると円錐形の砂山の頂に松の葉が。
向かって左は3葉、右は2葉の松の葉が置かれているのは、陰陽道に基づいて奇数と偶数が合わさることで神の出現を願う意から。
この「立砂」が、祭神の依代(よりしろ=神霊が寄りつくもの)。
地鎮祭や厄払いに砂や塩をまく風習は、上賀茂神社の砂を持ち帰って土地を清めるためにまく人が現れたことが由来なのだという(希望者に立砂を授与)。

国宝・本殿特別参拝は、神職の案内で普段は立ち入れない神域へと入るもので、10:00〜16:00(土・日曜、祝日は16:30まで)に受付。

皇城鎮護の役割を担い、807(大同2)年には神社の最高位となる正一位の神階を受け、『賀茂祭』(「葵祭」)は勅祭とされています。
上賀茂神社の本殿は国宝、34ある社殿はすべてが重要文化財という文化財の宝庫で、神域の地形に応じて巧みに配置されています。

5月15日には『時代祭』、『祇園祭』と並び京都三大祭の『賀茂祭』(『葵祭』)がしめやかに行なわれます。
社伝によれば、6世紀、欽明天皇の時代に始まったという歴史ある祭り。
平安時代、祭といえば『賀茂祭』のことをさしたほど京にとっては重要な祭礼です。
『石清水祭』、『春日祭』とともに三勅祭(さんちょくさい/勅祭=天皇の勅使が派遣されて執行される祭)に数えられています。
『源氏物語』では、光源氏が勅使を勤める場面があります。

競馬のルーツ『競馬会神事』
1093(寛治7)年に賀茂別雷神社の馬場で行なわれた『競馬会神事』(くらべうまえしんじ)が、いわゆる一般公開の競馬のはじめて物語。
つまりは日本における競馬のルーツということになります。
その様子は『徒然草』第四十一段にも「五月五日、賀茂の競べ馬を見侍りしに、車の前に雑人立ち隔てて見えざり」と記されるもので、京都市の無形民俗文化財。
毎年5月5日に行なわれており、賀茂競馬(かもくらべうま)は俳句の季語にもなっています。
上賀茂神社(賀茂別雷神社)の神馬

上賀茂神社(賀茂別雷神社) 3つのチェックポイント

平安遷都以前に創始という古社で、競馬のルーツ
王城鎮護の役割を担い、厄除け・方除けで名高い
本殿は国宝、34ある社殿は重文で世界遺産に登録

上賀茂神社(賀茂別雷神社)
名称 上賀茂神社(賀茂別雷神社)/かみがもじんじゃ(かもわけいかづちじんじゃ)
Kamigamo-jinja Shrine(Kamowake-ikazuchi-jinja Shrine)
所在地 京都府京都市北区上賀茂本山339
関連HP 上賀茂神社(賀茂別雷神社)公式ホームページ
電車・バスで 地下鉄烏丸線北山駅から徒歩20分。または、地下鉄烏丸線北山駅から市バスで11分(JR京都駅から市バスで51分)、上賀茂神社前下車、徒歩2分
ドライブで 名神高速道路京都南ICから約13km
駐車場 上賀茂神社駐車場(170台/有料)
問い合わせ 上賀茂神社(賀茂別雷神社) TEL:075-781-0011/FAX:075-702-6618
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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