石見銀山(島根県大田市)にある発掘調査によって初めて発見された江戸時代初期の銀精錬遺跡が下河原吹屋跡(しもがわらふきやあと)。室町時代、鉛を利用した灰吹法(朝鮮半島から伝えられた金銀の製錬方法)という銀を精錬する方法が確立され、シルバーラッシュを生み出しますが、その銀精錬遺跡が下河原吹屋跡です。
江戸時代初期の灰吹法による銀精錬遺跡
博多の豪商・神屋寿禎(かみやじゅてい/遣明船で明国に渡っています)は、出雲の鷺銅山(さぎどうざん)に銅を仕入れに行く途中、石見銀山を発見しています。
天文2年(1533年)、朝鮮半島から招いた技術者、慶寿(けいじゅ)と宗丹(そうたん)によって、国内では石見銀山に最初に導入されたのが灰吹法(はいふきほう=銀鉱石に鉛を加えて溶かし、鉛を灰に染み込ませて銀を抽出する方法)です。
この方法は、天文11年(1542年)、生野銀山に伝わり、やがて全国に広まって、金銀の産出量が飛躍的に増加し、石見銀山にも繁栄をもたらしました。
往時には12m×20mの木造平屋建ての精錬所が建ち、火を使うために土壁で囲まれていました。
ただし亜硫酸ガスなどを排出するため屋根が高く吹床(ふきどこ)ごとに煙突を設備するなど換気には留意した構造に。
平成3年に発掘調査で発見され、銀鉱石を砕いた要石や選別のために水をためていた跡、井戸跡なども確認されています。
とくに復元などされていないので、単なる荒れた田畑(耕作放棄地)にしか見えませんが、実は、石見銀山の初期に、精錬を支えた場所だったのです。
下河原吹屋跡 | |
名称 | 下河原吹屋跡/しもがわらふきやあと |
所在地 | 島根県大田市大森町 |
関連HP | 大田市観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR大田市駅から石見交通バス川本線(世界遺産センター行き・大森行き)で28分、大森下車、徒歩15分 |
ドライブで | 山陰自動車道(仁摩温泉津道路)仁摩・石見銀山ICから約7.8kmで世界遺産センター |
駐車場 | 交通規制のため世界遺産センター駐車場(石見銀山駐車場400台/無料)を利用し、路線バスで大森バス停へ |
問い合わせ | 大田市観光協会 TEL:0854-88-9950/FAX:0854-88-9960 |
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