たまり多くの日本人は誤解している! 醤油と「たまり」は何が違う!?

名古屋名物のきしめん。地元のうどん屋を取材すると、「醤油でなく『たまり』を使うのが伝統の味」とのこと。愛知県を筆頭に、西日本では比較的にお馴染みの「たまり」ですが、馴染みがあっても醤油との根本的な違いを理解していない人が多数。ましてや東日本では、ほとんど「たまり」は未知なる世界です。

醤油よりも「たまり」の方が歴史ある調味料

天然醸造の味噌の上に浮かんだ「たまり」

日本の醤油は、中国の醤(ジャン)が、奈良時代に渡来。
醤院(ひしおつかさ)が大豆を発酵させて醤(ひしおす)をつくったのが始まり。
この醤(ジャン)は、大豆などを発酵させてつくるもので、味噌に近い存在です。

鎌倉時代に中国で北方の女真(ジュシェン)族の進出で金王朝を樹立すると、宋(そう)から多くの禅僧が日本に逃れるようにやって来ますが、禅寺でつくられたのが味噌です。
実はこの味噌作りの過程で、味噌の上に染み出して溜まるのが「たまり」。
古来の製法で大桶で豆味噌を仕込んだ場合、重石を乗せ圧力をかけますが、少しずつとろりとした液体が味噌の表面ににじみ出てきます。
これが「味噌溜まり」、つまりは「たまり」の正体です。
味噌の旨みが凝縮された液体で、味噌の醸造元では今も「味噌溜まり」と呼び習わしています。

「たまり」にも実は味噌だまり、醤油だまりがある!

伊勢うどんのタレはたまりを使っている

対する醤油は、大豆と小麦、塩、そして薄口醤油の場合は米を原料につくるもので、室町時代の末期に誕生しています(関東の濃口醤油は、江戸時代後期に誕生)。
今では濃口醤油が市販の醤油の85%を占めていて、スーパーで「たまり」を見かけることはないので、こうした違いを知らないのは当然です。

少しややこしいのは、「この味噌溜まり(本来のたまり)」とは違う「醤油だまり」があること。
こちらは大豆と塩だけで(少量の小麦はOK)つくられる醤油で(原料的には味噌と同じ)、「味噌溜まり」よりも量産ができるので安価という利点があります。

ただし、厳密には味噌溜まりを「本たまり」、醤油的にトロトロ感をなくしたものを「醤油だまり」と呼び分けていますが、ともに「たまり」であることに違いはありません。

「たまり」の良さは、旨み成分が2倍〜3倍もあること。
関西の料亭などで、刺し身の場合は濃口醤油でなく「たまり」を出したりするのは、そのためです。
またみたらし団子なども、関東だと濃口醤油のキリリとした味ですが、中京圏や関西では「たまり」を使う場合もあります。

名古屋の老舗のうどん店できしめんを頼むと、「醤油ですか、たまりにしますか?」と尋ねられることがありますが、そんな店は出汁(だし)にもこだわる名店です。
伊勢うどんに使われるのもこの「たまり」です。

ちなみに味噌がベースで、味噌の醸造所が販売する「たまり」、醤油としても使える醤油たまりは、ネット通販などで手に入れることができます。
「本溜」、「たまり」などのキーワードで検索をかけると、いろいろな商品が出てくるので、一度ぜひお試しを。

たまり漬け
たまり多くの日本人は誤解している! 醤油と「たまり」は何が違う!?
開催日時 西日本の薄口醤油、東日本の濃口醤油、何が違う、その使い分けは!? と相互リンクをお願いします
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

西日本の薄口醤油、東日本の濃口醤油、何が違う、その使い分けは!?

ひとことに醤油といっても数ありますが、大別すると、西日本で一般的な薄口醤油(淡口醤油/うすくちしょうゆ)と、東日本の濃口醤油。実はその歴史はもちろんのこと、材料にも違いがあるのをご存知でしょうか。味にうるさい西日本の家庭、醤油の産地では、数

よく読まれている記事

こちらもどうぞ