東京都国立市(くにたちし)、JR中央本線国立駅の駅前南側ロータリーに面して建つのが旧国立駅舎。大正15年、国立駅舎として建築された洋館風の駅舎で、平成18年、新しい駅舎の完成で解体された後、令和2年に旧来の駅舎とほぼ同じ場所に創建当時の姿で再築・復原されています。
令和2年、改札口なども創建当時のままに復原
大正15年4月1日に開業した初代の国立駅舎は、西武グループの創業者、堤康次郎(つつみやすじろう)の箱根土地が建築し、当時の鉄道省に寄付したもの。
堤康次郎(つつみやすじろう)の箱根土地は、沓掛村(現・中軽井沢/大正6年〜)、箱根・強羅(大正8年)をきっかけに、都市開発も手掛け、目白文化村(大正11年)、小平学園都市(大正14年)、大泉学園都市(大正14年)などを築いていますが、国立も関東大震災で東京・京橋の東京商科大学(現・一橋大学)の校舎が倒壊したため、大学と箱根土地が契約し、国立と小平に東京商科大学を中心に据えた学園都市を開発しています。
堤康次郎は、「赤い三角屋根に白い壁」という洋館風の国立駅の駅舎をシンボルに据え、駅・駅前広場・大学通りを一体的に捉えた開発を行なったのです(現在も駅前ロータリーの土地はプリンスホテルが所有)。
そのシンボルとして、宣伝などにも活用した国立駅舎は、河野フランク・ロイド・ライトに師事し、帝国ホテル新館(ライト館)の建設に携わった河野傳(こうのつとう)の設計だと推測できます。
国立市は設計者不明としていますが、河野傳は、帝国ホテル建設後、箱根土地(現・プリンスホテル)に入社し、池袋白雲閣、軽井沢グリーンホテルなどの設計にも関わっているため、その可能性が大なのです。
現役当時の国立駅舎は、関東の駅百選にも選定されていました。
保存された旧国立駅舎の内部は、国立と国立駅の歴史を紹介する「展示室」、観光案内所機能を持つ「旧国立駅舎まち案内所」になっていて、大正時代の雰囲気をそのままに伝える改札口、切符売り場だった窓口を復元しています(建物自体は解体後保管していた部材を再利用し、創建当時の姿に復原)。
旧国立駅舎 | |
名称 | 旧国立駅舎/きゅうくにたちえきしゃ |
所在地 | 東京都国立市東1-1 |
関連HP | 国立市公式ホームページ |
電車・バスで | JR国立駅南口からすぐ |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
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