東京都北区、JR・東京メトロ王子駅近くにあるのが、音無親水公園(おとなししんすいこうえん)。石神井川の旧流路に整備された公園。石神井川が現在の北区付近で音無渓谷と呼ばれ、江戸近郊の行楽地として賑わった時代を現代に再現したもので、王子七滝のひとつ権現の滝も復元されています。
かつての景勝地に誕生した親水公園
戦後の都市化で、石神井川も生活排水などで汚れた川となり、洪水による被害を防ぐ目的で、昭和33年9月の狩野川台風で一帯の渓谷が破壊されたことを受けて始まった改修工事によって川は飛鳥山公園の下に2本のトンネルを掘り、石神井川流路のショートカットが行なわれ、王子駅の北側、都電・王子駅前の横で忽然と現れています。
音無親水公園の少し上流には、明暦2年(1656年)に築造された王子大堰があり、一帯の音無渓谷(滝野川渓谷)のシンボルとなっていましたが、石神井川の河川改修で姿を消しています。
王子神社の南、かつての石神井川の流路を親水公園として整備。
東京都内では国営昭和記念公園、日比谷公園、上野公園、水元公園、代々木公園とともに「日本の都市公園100選」にも選定されています。
公園内には、ソメイヨシノ21本、サザンカ44本が植栽され、桜の開花期には、春の桜、秋の紅葉の名所だった時代を彷彿する見事さです。
園内の親水施設区域は、9:00〜16:00に開放。
親水施設区域を流れる水は、ろ過装置による循環水を使用し、夏は水遊びも楽しむことができます。
権現の滝(ごんげんのたき)は、神仏習合時代の王子権現(現在の王子神社)側の河岸段丘から落ちる滝で、弁天の滝、不動の滝、稲荷の滝、大工の滝、見晴らしの滝、名主の滝とともに王子七滝に数えられていました(名主の滝公園内の名主の滝のみ現存)。
石神井川(音無川)をまたぐアーチ型鉄筋コンクリート橋は、昭和6年1月に開通した音無橋(全長50m、幅員18m)で、当時、飛鳥山(現・飛鳥山公園)に居を構えた渋沢栄一も援助しています。
架橋当時は橋の下を石神井川が流れていました。
昭和63年に大改修され、親水公園を眼下にするバルコニー部分は改修時に増設されたもの。
石神井川の上流側には、音無もみじ緑地(松橋弁財天跡)、弁天の滝跡、「紅葉寺」と呼ばれた金剛寺などがあり、一帯が行楽地だった時代の名残りの史跡が数多く残されています。
歌川広重が描いた王子を流れる石神井川の渓谷美
音無渓谷には、寛政11年(1799年)開業の料理屋「海老屋」、「扇屋」という有名料理屋があり、石神井川に面した座敷で飲食し、川では川遊びなど、風流な一帯だったことがわかります。
画題の横に「扇屋へ 馴染になつた 三の午」と句が添えられ、初午・二の午・三の午と王子稲荷に参詣するたびに「扇屋」に足を運んでようやく馴染みになれたというほど、贔屓客の多い人気店だったことがわかります。
音無親水公園 | |
名称 | 音無親水公園/おとなししんすいこうえん |
所在地 | 東京都北区王子本町1丁目 |
関連HP | 北区公式ホームページ |
電車・バスで | JR・東京メトロ南北線王子駅から徒歩1分 |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 北区道路公園課 TEL:03-3908-9275 |
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