東京都江東区常盤1丁目、松尾芭蕉の江戸生活の拠点・深川芭蕉庵跡の北に建つのが、江東区芭蕉記念館。芭蕉が蕉風俳諧を確立した句として有名な「古池や蛙飛びこむ水の音」も深川芭蕉庵での句会で詠まれたもので、『野ざらし紀行』、『奥の細道』も旅もこの深川から。
展示の中心は、真鍋儀十のコレクション
松尾芭蕉ゆかりの地に建ち、芭蕉関係資料の収集、展示を行なうミュージアムが、江東区芭蕉記念館で、昭和56年4月の開館。
壱岐出身で、明治大学法学部を中退後、衆議院議員となり、松尾芭蕉の研究家としても有名な真鍋儀十(まなべぎじゅう=高浜虚子に師事した俳人)のコレクションが展示の中心です。
真鍋儀十が私財を投じて収集した芭蕉直筆の『句空宛芭蕉書簡』など、芭蕉や俳文学に関する資料は1200点にも及び、このコレクションが氏が没する直前に寄贈を受けたことで、江東区芭蕉記念館が開館したのです。
東京大空襲で一度資料を失いながらも精力的に収集と続けたなかには、芭蕉の句短冊や、与謝蕪村が描いた『芭蕉坐像図』などの逸品も数多いのです。
常設展示は、「松尾芭蕉は何をした人?」から始まり、「芭蕉の生涯と生きた時代」で歴史的背景を解説、「芭蕉はどんな顔だったの?」と続くので、ファミリーでの見学にも最適。
さらに「芭蕉と深川」(深川芭蕉庵、深川での俳諧活動、深川と作品)、「『おくのほそ道』の旅立ちの地・深川」、「旅とネットワーク」、「江東区内の句碑・史跡など」と続いて、現在の江東区を拠点とした芭蕉の活躍が分かる仕組み。
2階には大正6年の高潮(大津波)で偶然発見されたという「芭蕉遺愛の石の蛙」(伝)も展示されています。
江東区芭蕉記念館では開館を記念して毎日映画社が作成した、広報映画『深川芭蕉庵ー松尾芭蕉の生涯』も上映。
例年、松尾芭蕉の忌日にあたる『時雨忌』(10月12日)に合わせた全国俳句大会に向けて作品を募集しています(兼題部門1句、四季雑詠部門1句の2句一組で投句)。
史跡・深川芭蕉庵跡には、現在、芭蕉稲荷神社が建っています。
松尾芭蕉関連のミュージアムとしては、生家のある伊賀上野に「芭蕉翁記念館」、『奥の細道』途中の栃木県大田原市に「黒羽芭蕉の館」、山形県山形市の山寺に「山寺芭蕉記念館」、『奥の細道』のゴールである岐阜県大垣市に「奥の細道むすびの地記念館」があります。
江東区芭蕉記念館 | |
名称 | 江東区芭蕉記念館/こうとうくばしょうきねんかん |
所在地 | 東京都江東区常盤1-6-3 |
関連HP | 江東区芭蕉記念館公式ホームページ |
電車・バスで | 都営地下鉄森下駅から徒歩7分 |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 江東区芭蕉記念館 TEL:03-3631-1448/FAX:03-3634-0986 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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