奥の細道むすびの地記念館

奥の細道むすびの地記念館

岐阜県大垣市、水門川の船町港跡近くに建つのが奥の細道むすびの地記念館。江戸時代、戸田氏10万石の城下町、宿場町、舟運の町としても発展した大垣。松尾芭蕉の有名な『奥の細道』は、元禄2年3月27日(1689年5月16日)に江戸を旅立ち、大垣がその結びの地(ゴール)でした。

『奥の細道』の行程を詳細に解説

松尾芭蕉は、俳友の谷木因(たにぼくいん=3代・谷九太夫)が大垣で廻船問屋を営み(当時、大垣には2軒の廻船問屋がありました)、また、木曽三川の舟運の拠点だったこともあって(伊勢長島経由で、名古屋まで船旅が可能)、大垣にたびたび滞在。
貞享元年(1684年)、『野ざらし紀行』途中に立ち寄ったほか、元禄2年(1689年)には、『奥の細道』の結びの地として、ここ大垣を選び、むすびの句として「蛤のふたみに別行秋そ」と詠んでいます。

大垣藩主・戸田氏の文教奨励もあり、大垣ではもともと俳諧も隆盛していましたが、芭蕉の来訪により、「蕉風俳諧」が美濃地方にも広まったのです。

奥の細道むすびの地記念館は、『奥の細道』を詳細に解説し、芭蕉の人となりや旅に生きた人生を紹介する「芭蕉館」、大垣の歴史や文化・芸術を築き上げた幕末の先賢の偉業を紹介する「先賢館」、大垣市と西美濃地域の観光情報や全国の芭蕉関連施設を紹介する「観光・交流館」の3館と、大垣藩藩老・小原鉄心の別荘で、「無何有荘 大醒榭」(むかゆうそうたいせいしゃ/大垣市の文化財)で構成されています。

「芭蕉館」のAVシアター(200インチ、3D映像)で、まずは『奥の細道』の旅を体感し、『奥の細道』を旅路ごとに区切って解説する常設展示で、「月日は百代(はくたい)の過客(かかく)にして、行かふ年も又旅人也」という発端から、大垣に至る行程を学ぶことができます。

さらに「人間・芭蕉」、「俳諧師・芭蕉」、「同時代人の評した芭蕉」、「旅の人・芭蕉」、「芭蕉旅年譜」など、充実した内容で、芭蕉と大垣俳壇など「奥の細道むすびの地」大垣らしい解説も網羅されています。

「観光・交流館」は、大垣市・西美濃地域の観光情報を入手できる観光拠点で、大垣観光協会もここに入っています。

ちなみに、芭蕉と親しかった谷木因の邸跡は船町2丁目にあり、大垣の武士、町人の他、赤坂(大垣市)、鳴海(名古屋市)などにも門下をもっていました(谷木因の墓所は船町の正覚寺)。

全行程2400kmのゴール、奥の細道むすびの地

俳人・松尾芭蕉は、元禄2年3月27日(1689年5月16日)、江戸・深川を旅立ち、日光から東北、北陸と5ヶ月ほどをかけて全行程2400kmを旅し(武蔵、下野、岩代、陸前、陸中、陸奥、出羽、越後、越中、加賀、越前、若狭、近江、美濃を通過)、若狭から琵琶湖畔の塩津に出、琵琶湖を渡って長浜へ、さらに不破関跡(関ヶ原)を越え、元禄2年8月21日(1689年10月4日)に大垣に到着。

谷木因ら大垣の俳諧人などと2週間ほど交流して過ごした後、元禄2年9月6日辰の刻(1689年10月18日8:00頃)に、「伊勢の遷宮をおがまんと、また船に乗り」船町湊を出船。
水門川、そして揖斐川を舟で下り、伊勢長島、桑名(三重県桑名市)へと旅立ちました。

実は若狭から大垣を経て伊勢長島へと芭蕉がたどったルートは、当時、日本海と太平洋を結ぶ最短ルートでもあり、芭蕉はそうした知識も豊富だったと推測できます。

ちょうど、元禄2年(1689年)は伊勢の神宮の式年遷宮の年(第46回神宮式年遷宮)で、伊勢、そして故郷の伊賀上野と旅を続けたのです。

奥の細道むすびの地記念館
名称 奥の細道むすびの地記念館/おくのほそみちむすびのちきねんかん
所在地 岐阜県大垣市船町2-26-1
関連HP 奥の細道むすびの地記念館公式ホームページ
電車・バスで 養老鉄道西大垣駅から徒歩16分。または、JR大垣駅から徒歩18分
ドライブで 名神高速道路大垣ICから約5.5km
駐車場 奥の細道むすびの地第1駐車場(40台/無料)・奥の細道むすびの地第2駐車場(25台/無料)
問い合わせ 奥の細道むすびの地記念館 TEL:0584-84-8430
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

奥の細道むすびの地

1689(元禄2)年旧暦8月21日、俳聖・松尾芭蕉は、5ヶ月にわたる『奥の細道』の旅を大垣で終え、「蛤のふたみに別行秋ぞ」と詠んで、式年遷宮の伊勢神宮を目指し、水門川の船町港(船町湊)から長島・大智院へと揖斐川を舟で下っています。「奥の細道

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