東京都八丈支庁に属する伊豆諸島の離島のひとつが、鳥島(とりしま)。特別天然記念物アホウドリの生息地としても有名な無人島で、所属市町村は未帰属(本籍の設置ができません)。鳥島カルデラの南縁に位置し、気象庁は火山活動度ランクAの活火山に指定しています。
ジョン万次郎が漂着した絶海の孤島
伊豆諸島では須美寿島と孀婦岩(そうふがん/伊豆諸島の最南端)の間に位置する鳥島。
かつては、小笠原島、八丈島の付属とされたこともありましたが、現在も所属町村は未確定です。
江戸時代に土佐の漁師、ジョン万次郎が漂着、アメリカの捕鯨船に救助されたのもこの鳥島です。
最高点は硫黄山(394m)で、八丈島出身の玉置半右衛門(たまおきはんえもん)が明治20年に鳥島に上陸、食用、羽毛用に半年で10万羽、鳥島大噴火まで15年間で600万羽のアホウドリを乱獲しています。
明治35年、鳥島が大噴火を起こし、アホウドリの捕獲に関わっていた玉置半右衛門の人足ら島民125人全員が死亡。
火山活動が収束すると乱獲が再開されましたが大正時代に終焉していますが、禁止された時点では50羽ほどと絶滅危機というまで減少しています。
現在、鳥島へは上陸はできませんが、「にっぽん丸」(商船三井客船)のクルーズなどで、海上から鳥島とアホウドリを観察が実施されることがあります。
東京・竹芝桟橋と小笠原とを結ぶ定期船「おがさわら丸」からは鳥島を眺めることはできません。
画像協力/海上保安庁
映画『漂流』で知られる野村長平の物語
天明5年(1785年)、土佐国の船乗り・野村長平(のむらちょうへい)は土佐藩内の赤岡村(現香南市赤岡町)から田野(現・田野町)へ300石船で御蔵米を運搬した帰路、嵐で遭難し、12日間の漂流後、鳥島に漂着。
長平以外に3名の乗組員は2年以内に死んでいますが、長平はアホウドリの肉と卵、それに少量の海産物で食いつないで生活、天明8年(1788年)に備前屋亀次郎船の11人が、さらに寛政2年(1790年)には日向国志布志の中山屋三右衛門船の6人が漂着。
18人が共同生活を送り、4名が死亡するも寛政9年(1797年)に青ヶ島を経て八丈島に脱出しています。
野村長平は12年間生活し、寛政10年(1798年)、土佐に帰還しています。
この物語は、吉村昭が『漂流』(新潮社刊)として小説化し、北大路欣也が演じて昭和56年に東宝が映画化しています。
鳥島 | |
名称 | 鳥島/とりしま |
所在地 | 東京都八丈支庁鳥島 |
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