NHK連続テレビ小説『虎に翼』(主演・伊藤沙莉)は、日本史上初めて法曹の世界に飛び込み、初の女性判事、家庭裁判所長となった三淵嘉子(みぶちよしこ)がモデル。ロケ地となっているのが名古屋市市政資料館、名古屋市役所本庁舎、そして鶴舞公園の噴水など、名古屋市内がロケ地となっています。
名古屋市市政資料館は初の女性判事が就任した建物!
2024年4月1日(月)から放送が始まった伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『虎に翼』。
「日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー。」(NHK)ということで、主人公・猪爪寅子(いのつめともこ)のモデルとなったのが、三淵嘉子(みぶちよしこ)。
2023年12月に2週間、2024年2月に1週間、名古屋市内を中心とした愛知県内でロケが行なわれ、主人公が通う明律大学の廊下として使われるのが、名古屋市役所本庁舎。
明律大学という大学は実在しませんが、モデルとなった日本初の判事となった三淵嘉子は、明治大学法学部の出身ということで、明治大学の前身・明治法律学校から、明律大学となったと推測できます。
名古屋市昭和区の鶴舞公園の噴水塔と名古屋市公会堂は、東京地裁(名古屋市公会堂)前の日比谷公園として初回放送冒頭から登場し、名古屋市民にはいきなり「見覚えのある風景」が登場したことに。
名古屋市政資料館は、名古屋控訴院として大正11年に建てられたネオ・バロック様式のレンガ造建築物で国の重要文化財。
実際に名古屋高等・地方裁判所として大正11年〜昭和54年の間、使用されており、三淵嘉子も女性初の判事として昭和27年~昭和31年の間、名古屋地裁に勤務していました。
裁判所のロケ地として最適だったというだけでなく、実際にモデルとなった日本初の女性判事が勤務していた場所ということになるのです。
モデルとなった三淵(旧姓・武藤)嘉子は、大正3年11月13日、台湾銀行に勤務していた武藤貞雄の長女として、シンガポールに生誕。
父親は、当時としては珍しく、男女に分け隔てのない民主的な考えの持ち主で、娘にも「何か専門の仕事をもつ為の勉強をしなさい。医者になるか弁護士はどうか」と語り、職業婦人としての自立を諭しました。
昭和8年5月の弁護士法改正で、それまで弁護士資格について「成年以上ノ男子タルコト」(第2条第一)とされていた規定が、「帝国臣民ニシテ成年者タルコト」に改められたため、女性にも門戸が開かれましたが、女性を受け入れる大学がありませんでした。
弁護士法改正を見越して昭和4年に創設された明治大学専門部女子部法科(3年制/平成19年に廃止になった明治大学短期大学の前身)が、唯一の道。
明治大学女子部は、「女子のために高等教育を施し、学問でその才能を発揮できる場をつくること」、「男尊女卑の旧習を打破し、女子の人格を尊重して法律上、そして社会的な地位を改善すること」を目的に創立され、卒業生には明治大学法学部への編入を認めていたため、三淵嘉子は、明治大学専門部女子部法科から明治大学法学部を経て、高等文官試験司法科に合格したのです。
合格者のうち女性は三淵嘉子、同級の中田正子、そして1学年下の久米愛の3人で、いずれも明治大学の卒業生でした。
その後、第二東京弁護士会での1年半の弁護士試補の修習を終え、昭和15年6月弁護士登録し、日本初の女性弁護士に。
戦時下には明治大学の助教授として後進の指導にあたり、戦後、裁判官としての任官を目指すも、女性への門戸はまだまだ閉ざされており、司法省民事部に入所。
昭和24年6月東京地裁民事部の判事補に任用(女性の裁判官としては、明治大学出身の石渡満子に続いて2人目)され、アメリカで家庭裁判所を視察後の昭和27年12月、名古屋地裁で、初の女性判事となりました。
つまり、ロケに使われ、主人公・猪爪寅子が務めるネオ・バロック様式のレンガ造建築(名古屋市市政資料館)は、実際に「初の女性判事」が誕生した裁判所でもあったのです。
朝ドラ『虎に翼』のロケ地は、名古屋市市政資料館など名古屋市内に! | |
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