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【地図を旅する】vol.2 難読山名第2位は、国後島の爺爺岳

難読山名第2位は、国後島の爺爺岳

「日本異様難読山名コンテスト」(『パソコン通信NIFTY-Serve』)で日本で2番目の難読山名に選出されたのが、北方領土・国後島(くなしりとう)の爺爺岳(ちゃちゃだけ)。読み方がまったく想像がつかない山ですが、国後島に聳える高峰で、標高は1772mもあります。

アイヌ語で「年老いた山」の意

アイヌ語のチャチャ・ヌプリ(caca-nupuri=老いた・山)に由来する山名で、「ちゃちゃだけ」と読ませています。
国土地理院の2万5000分の1地形図には、山頂に噴気のマークが記されていることからも、活火山であることがわかります。

爺爺岳を望むことができるのは、知床半島羅臼側や、知床岬などから。
羅臼町の漁師たちは、知床岬半島先端部の沖で漁をする際(天気予報が当てにならないエリアのため)、爺爺岳に笠雲が付くなどの変化で、天候悪化の兆しをつかんでいます。

爺爺岳は成層火山で、国後富士とも呼ばれていますが、頂上部に直径2kmのカルデラがあり、その中に中央火口丘があるため、羅臼側から眺めると、富士山というよりも凸型に見えます。

同じ北方領土の択捉島(えとろふとう)・阿登佐岳(あとさぬぶり)が択捉富士と呼ばれ、日本の最東端に聳える○○富士となっています。
残念ながら、北海道からは択捉島を見ることができません。
北海道から眺めることができる、北方領土の北限、東限が爺爺岳とその北のルルイ岳(1481m)なのです。

実は、知床半島の最高峰、羅臼岳(1660.4m)もアイヌ語の地名はチャチャ・ヌプリ。
アイヌ文化研究者の第一人者で、アイヌ初の国会議員にもなった萱野茂さんの『アイヌ語辞典』には、チャチャ(caca)の項に「あまり上品な言葉でないのでむやみに使ってはいけない」との注釈まで付いています。
とすれば、年老いた山という訳よりも、ジジイ岳の方が語源に近い感じなのかもしれません。

ちなみに、国後島の爺爺岳は、じいさんながら、今も元気に火山活動を続ける「現役」。
近年でも昭和49年、昭和50年、昭和53年、昭和56年に水蒸気噴火が根室測候所や羅臼町で確認されています。
江戸時代後期の文化9年(1812年)には噴火により、溶岩が流出しています。

羅臼岳も同様に火山なので(有史以来、噴火の記録はありません)、火山や厳しい気象条件で禿げ山となっていること、そしてその主峰たる偉大さがチャチャ・ヌプリという山名の由来と推測できます。

函館ににチャチャ登りという坂道がありますが、老人のように腰を曲げて歩かなくてはならない急坂から生まれた坂名です。

地図(国土地理院)/地理院タイル

【地図を旅する】vol.2 難読山名第2位は、国後島の爺爺岳
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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