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三徳山三佛寺

706(慶雲3)年、修験道の開祖である役行者が開山と伝えられる三朝町の古刹。849(嘉祥2)年、円仁(慈覚大師)が釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来の三尊を安置したので、天台宗の寺、三徳山三佛寺となりました。三徳山(みとくさん・標高899.7m)全体が霊山で、険しい道をよじ登って到達する国宝の投入堂は有名です。

国宝の投入堂
『炎の祭典』で賑わう本堂

六根清浄の地として日本遺産に認定

三徳山の山名は「法身(真実そのものの体)」「般若(修行の結果として得られた「さとり」の智慧)」「解脱(煩悩による繋縛から解き放たれ、悟りの涅槃の世界への脱出)」の3つの徳に由来しています。
三徳山で修行し、三朝温泉で癒やす。古来からの流儀は、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)と六感治癒(ろっかんちゆ)の地」として、三朝温泉とセットで「日本遺産」に認定されています。

同じ鳥取県では大山寺は明治初年の神仏分離、廃仏毀釈で一時は廃寺という荒波にさらされましたが、三徳山三佛寺は、現在も神仏混淆(しんぶつこんこう)時代の名残を色濃く残しています。

本堂から奥の院まで続く行場(ぎょうば)に文殊堂、地蔵堂、納経堂らの国の重要文化財に指定された堂宇があり、山全体が国の史跡、名勝に指定されています。
しかも奥の院・投入堂は国宝。

『炎の祭典』の際には修験者が大集合! 中央が米田良中住職

投入堂への道は難行苦行の修験の道!

写真家の土門拳が『古寺巡礼』のなかで「日本一の名建築は何かと問われれば、私は躊躇なく、三佛寺投入堂を真っ先に挙げる」と記した投入堂へは本堂から徒歩1時間ほど。
宿入橋(やどいりばし)を渡り、木の根が入り組んだ急坂「かずら坂」、鎖を頼りに登る「クサリ坂」を登り切ると文殊堂(国の重要文化財/標高440m)。さらに両側が絶壁の平岩を越えると地蔵堂(国の重要文化財)。最後の難関「牛の背馬の背」をバランスよく越えれば納経堂(国の重要文化財)で、ようやく国宝・投入堂にたどりつきます。投入堂は、中国の岩窟寺院を思わせるようにどうやって建築したのか想像を絶する場所に造られているのです。

「投入堂」の名は、慶雲3年(706年)、三仏寺の開祖とされる役小角(えんのおずぬ=役行者)が蔵王権現などを祀った仏堂を、法力でもって平地から山に投げ入れたという伝承に由来。
平成13年に行なわれた奈良文化財研究所埋蔵文化財センターの「年輪年代法」による調査で、投入堂は平安時代後期築ということが明らかになっています。その価値は世界遺産級という人も多く、周囲の森は「森林浴の森百選」に選定されています。

紅葉の文殊堂と地蔵堂

役行者の「蓮の花びら伝説」と天台密教の隆盛

飛鳥時代の慶雲3年(706年)、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ=役行者)が「神仏のゆかりのあるところへ落としてください」と三枚の蓮の花びらを空に投げ上げると、そのうちの一枚が伯耆国三徳山(ほうきのくにみとくさん)へ舞い降り、三徳山に修験道の行場が開かれたという「蓮の花びら伝説」が残されています。
役行者は、子守権現、勝手権現、蔵王権現の三所権現を祀り、霊山・三徳山を山岳修行の地としました。
ただし、歴史的には、大宝元年(701年)に役行者は没しているとされ、これはあくまで伝承にすぎません。

さらに平安時代になって、嘉祥2年(849年)、円仁(慈覚大師)が三徳山の山下に堂宇を建立し、本尊・釈迦如来・阿弥陀如来・大日如来の三尊を安置して三佛寺を創建。天台密教の道場として隆盛を極めます。
円仁が開山したり再興したりしたと伝わる寺は関東に200寺以上、東北に330寺以上あるなど全国に数多く、この三佛寺もそのひとつです。

往時には僧坊3000、堂舎38を数えるほど栄えましたが、現在では山麓に輪光院(りんこういん)、正善院(しょうぜんいん)、皆成院(かいじょういん)の3院が残るのみ。3つの宿坊では宿泊、精進料理を味わうことも可能です。

また、毎月18日は、『毎月例護摩祈祷会』で、本堂での法要後、輪光院にて食事作法の指導を受けながらお粥をいただくことができます(『斎食儀食事作法』=月変わりお粥接待)

毎月18日の護摩法要
『斎食儀食事作法』=「菊の花粥」

三徳山三佛寺の年中行事

1月1日/修正会・初詣・初護摩供=初詣で賑わいます
2月3日/節分・星祭=豆まきが行なわれます
4月1日/慶雲入峰=山開きが行なわれます
4月18日の次の日曜/春会式(三徳縁・内護摩)=旧暦3月18日の春季法要(権現祭)で、神輿(みこし)に乗った神様が境内から外へお出かけになり、多くの人に御利益(ごりやく)を授ける神事『御幸行列』を斎行。神仏混淆の歴史を物語る行事です
7月18日/夏会式(大般若会・内護摩)=経を僧侶が転読し、日本最古級で国の重要文化財・木造蔵王権現立像(もくぞうざおうごんげんりゅうぞう)の一般公開を実施
8月16日/万灯会=盆踊りが行なわれます
10月最終日曜/秋会式(採燈護摩・火生三昧火渡り神事)=一般に『炎の祭典』として知られています。修験道の秘術を間近で見ることができ、荒行である火渡りに参加できます

『炎の祭典』に集まった修験者たち
古式に則り盛大に護摩が焚かれる
最後には道者を先頭に火渡りの儀式が
投入堂へは入山について
2016年10月21日に発生した鳥取県中部地震の影響で、文殊堂近くの岩盤に亀裂が入っているため、本堂以奥の道は通行禁止となっていましたが、迂回路の設定がされ入山できるようになりました。詳しくは三徳山三佛寺の公式HPをご覧ください。
三徳山三佛寺
名称 三徳山三佛寺/みとくさんさんぶつじ
所在地 鳥取県東伯郡三朝町三徳1010
関連HP 三徳山三佛寺公式ホームページ
電車・バスで JR倉吉駅から日ノ丸バス三徳山行きで33分、終点下車、徒歩10分で本堂
ドライブで 米子自動車道湯原ICから約45km。中国自動車道院庄ICから約64km
駐車場 50台/無料
問い合わせ 三徳山三佛寺 TEL:0858-43-2666/FAX:0858-43-2661
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

日本三大投入堂とは!?

2023年8月6日

 

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