本州と四国に生息するツキノワグマ。かつては九州にも生息していましたが、現在ではほぼ絶滅状態です。そのツキノワグマ、本州、四国のブナの森、紀伊半島の常緑樹林を生息環境にしていますが、もともとはアジア大陸が生息環境。日本列島がほぼ陸続き状態だった氷河期に、「渡来した動物」であることがわかっています。
30万年前~50万年前の氷河期に大陸から渡ってきた!

世界には8種類の熊が生息していますが、そのうちヒグマとツキノワグマという2種類が日本にいるわけです(厳密にはヒグマの亜種エゾヒグマ、ツキノワグマの亜種ニホンツキノワグマ)。
環境省の調査によると、山岳地帯を中心に北海道の55%の地域にヒグマが、本州の45%の地域にはツキノワグマが生息しています(四国には少数が生息、九州はほぼ絶滅)。
熊は、2000万年ほど以前に、食肉類から分化し(ライオン、トラ、家猫などネコ科も同じルーツ)、ですが、進化の過程で植物などを食べることを覚え、雑食化しています。
北海道のエゾヒグマが川に遡上する鮭を捕獲して食する、春先にはフキ、ギョウジャニンニクなども口にするなど、さまざまな環境に対応し、生息域を広げていったのです。
ニホンツキノワグマも同様で、秋には本州に茂るブナやコナラの実を食べることで冬眠時の栄養を補給するようになったのです。
ツキノワグマの学名は、Ursus thibetanus。
Ursusはラテン語で「熊」、thibetanusは「チベット産の」で、学名は「チベット産の熊」。
アジアクロクマ、ヒマラヤグマという名のある通り、東アジアの熊です。
日本列島がユーラシア大陸と陸続き、あるいは津軽海峡と対馬海峡が非常に狭かった30万年前~50万年前の氷河期に、大陸から渡ってきたと推測されています(近年の研究で津軽海峡と対馬海峡には海が残り陸続きにならなかったともいわれていますが、その場合には浅い海を泳いで渡ったことに)。
その後、海が上昇し、日本列島は大陸から離れ、日本列島に渡ったツキノワグマは、ブナ科の落葉広葉樹林の茂る森で、草食化し、独自の進化を遂げて亜種のニホンツキノワグマになったのです。

| ツキノワグマはどこからやって来た!? | |
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