和歌山県和歌山市、万葉の歌人に愛され、多くの歌に詠まれた景勝地・片男波(かたおなみ)に整備された、和歌浦湾と和歌川に挟まれた細長い公園が片男波公園。和歌浦湾を望む眺望が抜群で、和歌山県朝日夕陽百選にも選定。1.2kmの人工海浜は、春は潮干狩り、夏は海水浴を楽しむ人で賑わいます。
万葉の歌人にも愛された名草山を眺める景勝地
和歌公園の片男波地区にあるのが片男波公園。
和歌浦湾に注ぐ和歌川の河口部に突き出す砂州の半島を利用したもので、健康運動公園として整備されています。
噴水広場や日本庭園、遊具広場、芝生広場、野外ステージ、万葉の小路などが配され、なかでも園内にある「万葉館」には、和歌山にゆかりの深い万葉歌に触れることのできる展示が充実。
万葉の小路には、万葉の歌6首が刻まれた5つの歌碑(巻7-1215と巻7-1217は同じ歌碑に刻まれています)が並んでいます。
名草山 言にしありけり 我が恋ふる 千重の一重も 慰めなくに(巻7-1213/作者不詳)
玉津島 よく見ていませ あをによし 奈良なる人の 待ち問はばいかに(巻7-1215/作者不詳)
玉津島 見てしよけくも 我れはなし 都に行きて 恋ひまく思へば(巻7-1217/作者不詳)
若の浦に 白波立ちて 沖つ風 寒き夕は 大和し思ほゆ(巻7-1219/藤原房前)
衣手の 真若の浦の 真砂地 間なく時なし 我が恋ふらくは(巻12-3168/作者不詳)
若の浦に 袖さへ濡れて 忘れ貝 拾へど妹は 忘らえなくに(巻12-3175/作者不詳)
東に、紀三井寺の建つ名草山を、和歌川越しに今も美しく眺めるのが片男波。
歌が詠まれた万葉時代には紀三井寺はまだ開基していません。
大勢の万葉歌人が詠んだ「玉津島」は、歌枕(うたまくら)として歌人・文人たちの憧れで、鏡山、雲蓋山、妙見山、船頭山は、当時は紀ノ川河口部に浮かぶ島だったと推測され、玉津島は玉津島神社背後に連なる小丘陵。
若の浦は現在の和歌浦のこと。
ちなみに片男波という地名も『万葉集』の山部赤人「若の浦に 潮満ち来れば 潟(かた)を無み 葦辺(あしへ)をさして 鶴(たづ)鳴き渡る」の「潟(かた)を無み」(満潮時に干潟が無くなる)に由来する地名です。
明治44年8月、夏目漱石は和歌山市で大阪朝日新聞社主催「現代日本の開化」というテーマの講演を行ない、日本初というエレベーターを備えた「望海楼」に宿泊、奠供山(てんぐさん)から和歌浦を眺望、紀三井寺、紀州東照宮、片男波などを訪れています。
小説『行人』の中で「夫(それ)から片男波を見る。稀らしく大きな波が堤を越えてくる。」と記されていますが、文人にとっても片男波は、心を揺さぶる景勝地だったことがわかります。
自家農園で育った朝採りの新鮮野菜、減農薬の米などを使った自然派創作料レストラン「マリシーザ」も営業し、サービスランチ、レディースセット、メンズセットなども用意。
片男波公園 | |
名称 | 片男波公園/かたおなみこうえん |
所在地 | 和歌山県和歌山市和歌浦南3-1700-2 |
関連HP | 片男波公園公式ホームページ |
電車・バスで | JR和歌山駅から和歌山バス新和歌浦行きで25分、権現前下車、徒歩15分 |
ドライブで | 阪和自動車道和歌山南スマートICから約7km |
駐車場 | 219台/有料 |
問い合わせ | 万葉館・片男波公園 TEL:073-446-5553/FAX:073-446-5554 |
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