飛行機の離発着、出発・到着の時刻、正確にはどの瞬間!?

飛行機の離発着

知っていそうで、意外に知られていないのが、飛行機の時刻表にある「離発着時間」は、厳密には何を指しているのかという点。JRなどの鉄道は、列車が所定の位置に停止したとき=到着、列車が運行を開始した時=出発と定められています。では、飛行機は!?

離陸の時刻はドアが閉まる瞬間ではない!

飛行機の離発着

鉄道の出発時刻が、ドアが閉まった瞬間ではなく、運行が開始したとき、つまりは動き出した瞬間です。
それ以前にドアは閉まっているので、ドアが閉まる時間だと信じてギリギリにホームに行けば、厳密には電車は動き始めているということに。

飛行機の場合は離発着の案内表示にON TIME、DELAYEDなどと表示されますが、離陸時間にはETD(Estimated time of departure)とATD (Actual time of departure)という用語があります。
電光表示に出発時刻と表示されるのは、ATDで、これが実際の出発時刻(スケジュール時間/scheduled time)。
ETDは時刻表に表示される出発予定時刻ということになります。

飛行機は搭乗開始→搭乗終了→ドアクローズ→ブロックアウト(車輪止めを外して動き出す瞬間)という段階がありますが、実は出発時刻は鉄道と同じで、動き出す瞬間です。
飛行場の飛行機を眺めている際に、車輪止めを外しトーイングカー(機体を牽引する車両)によってプッシュバック(機体を後方へ押し出して移動させる作業)を開始する瞬間が時刻表に表記される「出発予定時間」です。
その後、滑走路で離陸の順番待ちに時間がかかったとしても、すでに出発済みということに。

ですから、航空会社が「早めの搭乗手続きを」と訴えるのも、手荷物検査、搭乗手続きなどに時間が必要で、実際の離陸時間より30分ほど早く空港に着いていないと、「出発予定時間」に間に合わないこともあるからです。

では、飛行機の到着時間はといえば、出発と同じ理屈で「着陸後、地上滑走を経てスポットに完全に停止する時刻」(パーキングブレーキをセットしたブロックタイム)と定められています。
つまりは、前輪に車止めを装着した時刻ということになります。


一方パイロットが使う飛行時間(フライトタイム)とは、飛行機が離陸してから着陸するまでの時間(滞空時間)を指し、地上(プロペラあるいはジェットエンジンの推力を利用しての滑走路、駐機場の移動、地上走行= taxiing)の走行時間はTAXIタイムと呼んでいます。
このTAXI速度に規定はなく、「前方を十分に監視すること」などと定められた規定を守れば、速度はパイロットに一任されてえいるため、「早い」、「遅い」と感じることもあるのです。
それでも通常はどんなに速度を上げても時速60km以上になることはありません。

羽田空港など、着陸してからゲートまで離れていて滑走路を移動している時も実際には「飛行時間」のうちです。
また、ボーディングブリッジを使わない場合も同様で、前輪に車止めを装着した時間が到着時間で、実際にはバスでの移動、手荷物の受取などの時間が余分にかかることに。

動き始めと、所定の位置に停車という「到着・出発時刻の原則」は、鉄道と航空機にあまり変わりはありません。

飛行機の離発着
トーイングカーによるプッスバックは、すでに出発済みということに
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飛行機の離発着、出発・到着の時刻、正確にはどの瞬間!?
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