列強の圧力から徳川幕府は開港を決意しますが、それに伴って、慶応2年(1866年)、イギリス、フランス、アメリカ、オランダと結んだのが江戸条約(改税約書)。江戸条約では開国場への国際航路の安全を確保するため、8ヶ所に近代的な灯台を建てることを約束しています。その全国8ヶ所の灯台を紹介。
野島埼灯台(のじまさき)|千葉県
初点灯:明治2年12月21日
所在地:千葉県南房総市白浜町白浜630
高さ:塔高29m、平均水面上から灯火まで36m
光達距離:17.0海里(31km)
内容:初代の灯台はF・L・ヴェルニー(Francois Leonce Verny)の設計
現在の灯台は関東大震災で倒壊後に再建された2代目
灯台資料展示室「きらりん館」を併設
日本の灯台50選に選定
文化財:国の登録有形文化財
■見学が可能な参観灯台
観音埼灯台(かんのんさき)|神奈川県
初点灯:明治2年1月1日
所在地:神奈川県横須賀市鴨居4-1187
高さ:塔高19m、平均水面上から灯火まで56m
光達距離:19.0海里(35km)
内容:日本初の洋式灯台
初代の灯台はF・L・ヴェルニー(Francois Leonce Verny)の設計
初代の灯台は、大正11年4月26日の直下型となる浦賀水道地震(M6.8)で倒壊、2代目も大正9月1日の関東地震で、建築半年もたたずに倒壊、現在は3代目となります
日本の灯台50選に選定
文化財:とくに指定なし
■見学が可能な参観灯台
剱埼灯台(つるぎさき)|神奈川県
初点灯:明治4年3月1日
所在地:神奈川県三浦市南下浦町松輪
高さ:塔高16.9m、平均海面から灯火まで41.1m
光達距離:白光17海里(31km) 緑光18海里(33km)
内容:初代の灯台はリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計
現在の灯台は関東大震災後の大正14年7月4日再点灯のもので、八角形コンクリート造り
文化財:とくに指定なし
神子元島灯台(みこもとしま)|静岡県
初点灯:明治3年11月11日
所在地:静岡県下田市神子元島
高さ:塔高23.31m、平均水面上から灯火まで50.79m
光達距離:19.5海里(36km)
内容:初代の灯台はリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計
開港した横浜港へ入る船は、伊豆半島をかわすためにも下田沖は重要な場所
国際航路標識協会(IALA)の「世界歴史的灯台百選」に選定、、経済産業省の近代化産業遺産
文化財:国の史跡
樫野埼灯台(かしのさき)|和歌山県
初点灯:明治3年6月10日
所在地:和歌山県東牟婁郡串本町樫野
高さ:塔高14.6m、平均水面上から灯火まで47m
光達距離:18.5海里(34km)
内容:初代の灯台はリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計
紀伊大島の沖合は海の難所で、そのために建設も急がれました
日本最初の石造灯台、そして日本初の回転式閃光灯台
建設当初の塔高4.5mから塔高14.6mとかさ上げ的な改築はされていますが、1階部分や最上部の灯ろうの基本的な構造は往時のまま
明治3年竣工の旧官舎は、ブラントンの設計したものが現存
文化財:旧官舎は国の登録有形文化財
潮岬灯台(しおのみさき)|和歌山県
初点灯:明治6年9月15日
所在地:和歌山県東牟婁郡串本町潮岬
高さ:塔高23m、平均水面上から灯火まで49m
光達距離:19.0海里(35km)
内容:幕末に徳川幕府がアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4ヶ国と結んだ江戸条約(改税約書)で設置が決定した8灯台のひとつ
初代の灯台はリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計の灯台で、明治11年、古座川町産の宇津木石を使った石造灯台に改築
Aランクの保存灯台、日本の灯台50選に選定
文化財:とくに指定なし
■見学が可能な参観灯台
伊王島灯台(いおうじま)|長崎県
初点灯:明治4年7月30日
所在地:長崎県長崎市伊王島町1-3240
高さ:塔高11.5m、平均水面上から灯火まで64.4m
光達距離:20.5海里(38km)
内容:初代の灯台はリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計
長崎港に出入りする船の安全を守るためにオランダの要望で建設
九州では初めての西洋式灯台として誕生
昭和20年8月9日、原爆の爆風で大きな被害を受け、四角形、鉄筋コンクリート造の灯台に改築
経済産業省の近代化産業遺産
文化財:とくに指定なし
佐多岬灯台(さたみさき)|鹿児島県
初点灯:明治4年10月18日
所在地:鹿児島県肝属郡南大隅町佐多馬籠417
高さ:塔高12.6m、平均海面から灯火まで68m
光達距離:21.5海里(39km)
内容:初代の灯台はリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計
長崎、兵庫(神戸)、横浜への国際航路上に位置
明治4年になると、兵庫(神戸)〜長崎〜上海航路も始まり、重要度も高まりました
空襲で破壊され、現在の灯台は昭和25年に再建された2代目
文化財:とくに指定なし
| 幕府が江戸条約で設置を決定! 全国8灯台 | |
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