鎌倉と江ノ島・藤沢を結び、訪日外国人観光客にも人気の江ノ電(江ノ島電鉄)。道路上を走る「併用軌道」と呼ばれる部分もあって、あたかも路面電車のような雰囲気の場所も。龍口寺前交差点は、「日本最小のS字カーブ」として鉄道ファンにも有名な場所ですが、はたして江ノ電は路面電車なのでしょうか?
車の脇を走り抜ける場所もありますが、普通鉄道です

全長25mほどの2両1組の連接車を用いるという独特のスタイルも、沿線に「日本最小のS字カーブ」を筆頭にカーブが多いから。
途中の腰越駅〜江ノ島駅間はすぐ脇を車が走る「併用軌道」で、あたかも都電荒川線の王子駅前〜飛鳥山間を彷彿させますが、全線が鉄道事業法に基づく鉄道路線。
「日本最小のS字カーブ」も厳密には「普通鉄道として日本最小のS字カーブ」ということになります。
歴史を紐解くと、明治35年9月1日、江之島電氣鐵道として藤沢〜片瀬(現・江ノ島)間が開業した際には軌道条例に基づく軌道、つまりは路面電車でした。
明治36年に行合橋(現・七里ヶ浜)、明治37年、極楽寺と延伸、明治43年11月4日、ついに鎌倉へと伸ばして全線開業していますが(鎌倉駅への乗り入れは昭和24年3月1日)、このときもまだ軌道だったのです。
軌道から鉄道に変更されたのは戦後の昭和20年11月27日。
これにより「地方鉄道会社」となったので、路面電車ではなく、普通鉄道ということに。
鉄道事業法では、道路への鉄道の敷設は鉄道事業法第61条で禁止されていますが、第61条2項で「第1項の許可の手続について必要な事項は、政令で定める」と規定され、やむを得ないケースのみ、例外的に認められる可能性を残しています。
もともと軌道だったものが鉄道に代わったものの、路線を変更できないという特例処置で、江ノ電はこれに該当します。
福井市内にも電車が道路を走るという異色の光景を目にする場所がありますが、この部分は軌道となっています(走行する車両は鉄道部分から直通するので、少し異色の光景に)。

江ノ電は路面電車? | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |