よく、伊豆諸島への東海汽船「さるびあ丸」、「橘丸」や、小笠原への小笠原海運「おがさわら丸」のことをフェリーと記述しているサイトやブログを見かけますが、これは間違い。フェリーとはマイカーやトラックなどを積載して運ぶ船のことで、「さるびあ丸」などはフェリーではありません。
自動車を積まない船はフェリーとは呼べない!
Ferry Boatとは、英語で連絡船、渡し船という意味があるので、広義でいえば東海汽船「さるびあ丸」(6099t)、「橘丸」(5681t)、小笠原海運「おがさわら丸」(1万1035t)もフェリーボートと呼べるかも知れませんが、その意味では矢切の渡しの渡船を含めてフェリーとなってしまうので、利根川の渡船が、「利根川のフェリー」となってしまい大きな混乱をきたします。
国土交通省は、自動車航送船(フェリー)を「旧海上輸送法による一般旅客定期航路事業の免許または自動車航送貨物定期航路事業の許可を受けて、自動車航送を行なう船舶をいう」と定めているので、あくまで自動車航送を行なう船舶のみがフェリーといえるのです。
自動車に関しても「二輪のもの以外のもの」と定めているので、自転車だけ積むことのできる渡船型のフェリーは、仮にフェリーと名乗っていても厳密には自動車航送船(フェリー)には該当しません。
東海汽船は、「さるびあ丸」、「橘丸」に関して、ジェット船と区別して大型客船と分類しています。
「さるびあ丸」、「橘丸」に車を積み込もうとすれば船首部分にあるクレーンを使って荷物のように積載するしかないので、「自動車航送を行なう船舶」とはいえないのです。
しかも厳密にいえば、3船とも大型のクレーンを装備し、島に住む人達に生活物資を届けるという重要な役割を担っているため、客船ではなく、貨客船(「旅客輸送と貨物輸送の双方を行なう船舶」)ということに(貨客船というとわかりずらいので、大型客船と称しているのです)。
クルーズ客船に代表される純粋な客船は、配置によって、下層や内部側に窓のない部屋、船底の部屋(船員の部屋、少し割安な客室など)なども生じてしまいますが、貨客船は、人の輸送に向かないスペースを有効に活用できるため、効率的な船室配置ができるというメリットもあるのです。
同様に、自動車航送船(フェリー)も下層部分を自動車甲板(自動車搭載区画)として活用しているため、眺めの良い上層部分を客室やレストラン、大浴場などに当てられるのです。
しかも自動車を積むスペースを確保するため、容積を確保する必要があるので、長距離フェリー(航海距離300km以上)の大型化、そして近年はクルーズブームを反映して個室を増やすなどのゴージャス化が図られています。
大型フェリーと「クルーズ客船」の違いは、クルーズは、船旅自体を楽しむもので移動手段ではない(定期航路を有しない)と定められているので、ここが大きな違いとなっています。
それでも長距離フェリーの中には特等やスイートの客室、大浴場、シアタールームなどは、クルーズ客船顔負けの広さと豪華さを誇る船もあり、レストランの内容さえ充実していれば、クルーズ的な気分も味わうことができます。
新日本海フェリーでは予約でフレンチフルコースを味わうことができますし、太平洋フェリー、商船三井さんふらわあのブッフェは、ホテルのブッフェ並みなので、特等船室などを利用すれば「クルーズ気分が味わえる船旅」が実現するでしょう。
フェリーとは!? 東京と伊豆・小笠原を結ぶ大型客船はフェリーでない!? | |
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