福岡県朝倉郡東峰村、JR日田彦山線・筑前岩屋駅の西側の山中に鎮座するのが、岩屋神社。その名の通り岩窟(岩屋)に本殿があるという神社で、本殿は国の重要文化財ですが、岩屋神社境内社の熊野神社の本殿も岩窟に収まり、やはり国の重要文化財に指定されています。
九州に伝わった熊野修験の歴史を今に伝える社
岩屋神社一帯は「宝珠岩屋」と呼ばれる奇岩群(福岡県の天然記念物)で、岩屋神社本殿のある権現岩の西に隣接する熊野岩の南壁の岩窟にあるのが、熊野神社(岩屋神社境内社)。
熊野岩中ほどの岩窟に懸造り、三間社流見世棚造りで板屋根という簡素な社殿が築かれています。
貞享3年(1686年)の築で、国の重要文化財に指定。
岩屋神社は、中世に神仏習合(修験道、日本古来の神道、そして仏教が習合)の岩屋大権現と称し、室町時代に九州における修験道の拠点・彦山(胎蔵界)と宝満山(金剛界)の尾根筋を踏破する入峰修行(にゅうぶしゅぎょう)が確立から、修験の地として栄えた歴史があります。
永暦元年(1160年)頃、彦山を京にある新熊野神社の荘園に施入したのが、熊野信仰の関係の始まり。
室町時代に熊野修験・大峯奥駈修行と呼ばれる吉野から熊野までの大峰山脈の稜線伝いに続く120kmにも及ぶ険しい山道を、ひたすら祈り、ひたすら歩む修行が九州にも伝わります。
この熊野修験の影響で、彦山(胎蔵界)と宝満山(金剛界)を往来し、神仏である大自然に抱かれることで、清浄となって再び生まれ直す「擬死再生」(ぎしさいせい)の十界(じっかい=地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人間界、天界、声聞界、縁覚界、菩薩界、仏界)の修行を行なう峰入行が開始されたのです。
こうした歴史を今に伝えるのが、熊野神社なので、岩屋神社本殿に参拝したなら、ぜひ熊野神社本殿にも足を伸ばしてください。
熊野神社(岩屋神社境内社) | |
名称 | 熊野神社(岩屋神社境内社)/くまのじんじゃ(いわやじんじゃけいだいしゃ) |
所在地 | 福岡県朝倉郡東峰村宝珠山4141 |
関連HP | 東峰村公式ホームページ |
電車・バスで | JR筑前岩屋駅から徒歩20分 |
ドライブで | 大分自動車道杷木ICから約16km |
駐車場 | 5台/無料 |
問い合わせ | 東峰村農林観光課 TEL:0946-72-2313 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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