東京駅などの折り返し駅を除いて、折り返し運転のない途中駅では、上り線、下り線は別の線を使うのが普通です。とくに高速で密度の濃い運転の新幹線ならなおさらです。ところが、「上り・東京行き」、「下り・新庄行き」が同じホームを使っている駅が。それが東北新幹線・福島駅14番線です。
2027年3月に「14番線のカオス」は解消する予定

福島駅は1階(1番線〜6番線)が在来線(東北本線、奥羽本線)、3階の11番〜14番線が新幹線となっています。
新幹線ホームは、11番線・12番線が東北新幹線上りホーム(東京行き)、13番線が東北新幹線下りホーム(仙台、盛岡、青森方面)、そして14番線が東北新幹線上り(東京行き)と、東北新幹線下り、そして山形新幹線下りの新庄行きのホームになっています。
注目は14番線。
この運用だと、上り・東京行きが来たかと思えば、その次に下り・新庄行きということに。
実は、目下のところ福島駅に入線する山形新幹線のアプローチ線は、1本しかありません。
東京駅発の山形新幹線「つばさ」は、東京駅〜福島駅間は東北新幹線「やまびこ」と連結して運転、福島駅14番線で山形新幹線と東北新幹線の解結作業(切り離し作業)が行なわれます。
福島駅14番線から左に分かれる線が山形新幹線なのです。
つまり14番線は、上り・下りを問わず山形新幹線「つばさ」と併結される「はやぶさ」専用のホームということになるのかといえば、福島駅を通過する「はやぶさ」、「こまち」の待避ホームとしても使われるので、かなり複雑な運用に。
14番線の位置は本来は下り線の位置にあるため、上りの場合はこの14番線で「つばさ」と「はやぶさ」連結後、発車した電車は13番線へ入線する線路をまたいで(平面交差で)上り線に入る必要があるのです。
実際にホームの電光掲示を見ると(平日昼の例)、12:18「やまびこ・つばさ 138号」東京行き、12:35「つばさ 135号」新庄行き(「やまびこ135号」を解結)、12:37「やまびこ135号」仙台行きと続き、上りの次に下りということがわかります。
実はこの14番線問題、ひとつのホームを上下線で共有することで上りの新幹線が下りの線路を横断しなくてはいけないため、どちらか一方に遅れが出てしまうと東北新幹線、ひいては東日本全体のダイヤに影響が出る可能性が生まれてしまうのです。
どうしてこんなカオスなホームが生まれたのかといえば、「山形新幹線開業時には、東北新幹線・奥羽本線・東北本線など、鉄道や道路の隙間をかいくぐりながら実現可能なルートで上りアプローチ線を造ることは困難だったから」(福島市の解説)。
こうした不便さを解消するため、福島市とJR東日本は駅周辺の大掛かりな整備を進め、山形新幹線アプローチ線の新設工事が行なわれています。
完成するのは2027年3月で、山形新幹線開通以来の悲願が達成、「14番線のカオス」がついに解消することに。


超異色! 上り・下りの新幹線が同じホームを使う駅 | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag