広島城は、天正17年(1589年)、豊臣秀吉の五大老の一人、毛利輝元(もうりてるもと)により築城され、天守は昭和6年に国宝に指定され、城郭建築が残されていました。残念ながら原爆投下により全壊し、現在の天守は昭和33年に復元されたもの。名古屋城、岡山城とともに日本三大平城、そして「日本100名城」に選定。
広島城は、太田川河口に築かれた壮大な平城
毛利家の居城は、毛利元就が整備拡幅し、尼子の大軍を撃破した山城・郡山城(吉田郡山城=現・広島県安芸高田市)でしたが近世城郭の時代にはそぐわなくなり、瀬戸内海の交易や毛利水軍を利用できる広島平野に拠点を移し、平城を築いたのです。
築城前年の天正16年(1588年)には、毛利輝元が叔父の小早川隆景を伴って京の聚楽第(じゅらくだい)と大坂城を視察。
そのノウハウを取り入れるため、縄張りには小早川隆景と親しい黒田孝高(黒田如水)も参加しています(比治山に築城するという意見を退けたのも黒田孝高)。
広島城は、毛利輝元が太田川河口のデルタ地帯に築いた(そのため「島普請」とも)平城で、城自体の構造は、秀吉の居城・大坂城を参考に、縄張は京に築いた政庁機能を有した聚楽第に範を取っています。
文禄元年(1592年)には豊臣秀吉が文禄の役を指揮するため名護屋城へ向かう途中に、完成したばかりの広島城に立ち寄り、水攻めに弱い点を指摘していますが、黒田孝高に命じてわざと河口部分に築かせたという説もあります。
慶長5年(1600年)の関ヶ原の合戦で、毛利輝元は西国の雄ということで西軍の総大将に担ぎ上げられますが、吉川広家が西軍不利と判断したことで毛利軍は不戦を貫き、その結果、毛利家は周防・長門へ転封となります。
その後、広島城に入城したのは福島正則で、近世的に城を改築、外郭、城下町の整備が行なわれました。
その大規模な城整備と城下町の構築は徳川家康の怒りを買い、慶長14年(1609年)、福島正則は謹慎、さらに信濃国川中島へ転封となります。
元和5年(1619年)、浅野長晟(あさのながあきら)が入城して以降、明治維新に至るまでは12代にわたって浅野家の治世が続いています。
現在の天守は昭和33年再建で、内部は歴史資料館に
戊辰戦争の際には広島藩は官軍として戦ったため、明治4年に本丸に鎮西鎮台が置かれていますがその城郭は第二次世界大戦末期まで守られることに。
明治7年の火災で本丸御殿を焼失。
日清戦争開戦直後の明治27年9月8日に広島に大本営進駐を発令し、広島城内に広島大本営が置かれました。
9月15日には明治天皇も広島大本営入りし、明治28年4月27日まで、広島城内に大本営が設置され、次第に広島は軍都としての色彩を強めていきます。
原爆投下まで、天守、東走櫓、裏御門の一部、中御門、表御門、二の丸の平櫓、多聞櫓、太鼓櫓などが残されていましたが、原爆によって灰燼に帰しています。
現在の天守は、昭和33年3月26日竣工の復興天守。
内部は歴史資料館になっていて、築城の様子、藩政時代の広島の歴史、ゆかりの武具、甲冑が展示されています。
城下町広島を紹介する貴重な資料や絵屏風は必見の価値があります。
平成3年に二の丸表御門が、平成6年には二の丸の平櫓、多聞櫓、太鼓櫓が復元されています。
外堀、中堀は埋め立てられていますが内堀のみ残され、その浄化が進んでいます。
三の丸に鎮座していた稲荷社は、明治7年、多家神社(たけじんじゃ=広島県安芸郡府中町)創建の際に移築され宝蔵として再生されています。
校倉造りの建物は広島県の重要文化財に指定。
これが藩政時代、城内にあった建造物で唯一現存するものとなっています(現在の広島城内には建造物としての遺構はありません)。
ドライブの場合は、城跡内(堀の内側)に駐車場はなく、城南通り沿いの広島市中央駐車場に車を入れ、御門橋で内堀を渡って入城となります。
正保城絵図に見る 広島城
内堀の内側は往時のように復興が進んでいますが、中堀、外堀は埋め立てされ、市街地となっています。
これが広島という地名のルーツ。
さらに「広」(広がる)という縁起の良い名には家運長久の願いが込められているとも、毛利氏の祖である大江広元に通じるなど、諸説あって定かでありません。
ちなみに広島城が「鯉城」(りじょう)と呼ばれたのが広島カープのチーム名カープ(carp=鯉)の由来。
広島城 | |
名称 | 広島城/ひろしまじょう |
所在地 | 広島県広島市中区基町21-1 |
関連HP | 広島城公式ホームページ |
電車・バスで | JR広島駅から広電バス宮島方面行きで15分、紙屋町東下車、徒歩15分 |
ドライブで | 山陽自動車道広島ICから約8km |
駐車場 | 広島市営中央駐車場(408台/有料) |
問い合わせ | 広島城 TEL:082-221-7512/FAX:082-221-7519 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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