広島県広島市中区中島町1丁目、太田川(本川)と元安川に挟まれた中島にあるのが、平和記念公園。この一帯は、藩政時代から原爆投下までは広島市の中心的な繁華街でしたが、原爆投下により壊滅。昭和24年に公布された「広島平和記念都市建設法」に基づいて整備され、昭和29年に完成した公園です。
丹下健三がデザインしたビスタ景観にも注目を!
昭和24年4月20日に設計コンペの公募が行なわれ、8月6日に145点の応募作品の中から、当時、東大助教授だった丹下健三ほか3名の設計集団が1等に入選し、これに基づき昭和25年に着工(公園内には立ち退きを迫られた多くの民家がありました)、昭和29年に都市公園として完成しています。
園内には平和の願いをこめた数々のモニュメント、被災地となった当時の広島を展示した「広島平和資料館」(戦後における建築物としては最初の重要文化財に指定)、原爆死没者慰霊碑(広島平和都市記念碑)、平和の灯、平和の池、平和の鐘、世界文化遺産の「原爆ドーム」、広島国際会議場、被爆遺構展示館、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館などがあります。
園内の「平和の鐘」の音は、日本の音風景百選に選定。
また、330本の桜が植栽され、春は桜の名所としてにぎわいをみせます。
元安川沿いに整備された園地からは眼前に原爆ドームを眺望、広島県産業奨励館(原爆ドーム)原爆被災説明板も設置されています。
デザインコンペで1等となった丹下健三による公園デザインの柱は、「南北線上の眺望景観」。
東西に走る平和大通りに直交する南北線上に平和記念資料館本館、原爆死没者慰霊碑(広島平和都市記念碑)、平和の池、平和の灯が並び、その視線の先に原爆ドームが建っています。
つまり「東から西に抜けて広島市自慢の百メートル道路を正面として南向きに平和記念館(現・広島平和資料館)を配置、同館は廊下によって本館と集会場の二建物がつながれ、公園の中央には平和記念碑ともいうべきアーチの塔(原爆死没者慰霊碑)をつくり随所に緑樹が配されており百メートル道路に観光客が立てば記念館の廊下ーアーチの塔をすかしてアトムの残骸旧産業奨励館のドーム(原爆ドーム)を見通し得るようになっている」(丹下健三デザイン案の解説による)という心憎い設計です。
こうした設計思想は高く評価され、戦後開園の公園ながら国の名勝にもなっています。
こうしたビスタ景観を基本に造られた公園なので、広島平和資料館本館の前に立ち、丹下健三がイメージした、原爆ドームへと一直線に配されるビスタ景観を眺めてみるのもおすすめです。
広島市では、「原爆ドームを貫く南北の軸線を見通す景観は、平和都市広島を象徴する景観として、次世代に引き継ぐべき大切な存在」として視線の先に高層建築が建てられないように高さ制限を行なう広島市景観計画を定め、景観の保存にも尽力しています。
平和記念公園 | |
名称 | 平和記念公園/へいわきねんこうえん |
所在地 | 広島県広島市中区中島町1・大手町1-10 |
関連HP | 広島市公式ホームページ |
電車・バスで | 広島電鉄本線原爆ドーム前駅から徒歩10分 |
ドライブで | 山陽自動車道広島ICから約9km |
駐車場 | 広島市営中島町第1・第2駐車場(42台/有料) |
問い合わせ | 広島市都市整備局緑化推進部緑政課企画管理係 TEL:082-504-2390 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag