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夷王山

北海道・上ノ国町(かみのくにちょう)の背後にそびえる山が標高159.2mの夷王山。中世の北海道は夷島(えぞがしま)と呼ばれていましたが、夷の王の山が夷王山で、山頂の直下には松前城が築かれる以前の山城、勝山館(かつやまだて)が建っていました。夷(い・えびす)とは、当時、蝦夷地に住む人々を指す言葉です。

北海道で最初に和人が入植したのが夷王山一帯!

眼下に天の川の河口・大澗湾が

夷王山の麓、天の川の河口・大澗湾(おおまわん)は天然の良港で、古代から中世に至るまで、この湊が蝦夷地に入植した和人の貿易の舞台だった地。

秋田能代の檜山城を居館とした安東政季(あんどうまさすえ)は、1454(享徳3)年、南部氏に追われ武田信広(武田信廣=松前氏の祖)とともに夷島(北海道)に上陸。娘婿であった花沢館(はなざわだて)の蠣崎季繁(かきざきすえしげ)に身を寄せます。

後に渡島半島西部は下ノ国(茂別館の安東が守護=函館周辺)、上ノ国(花沢館の蠣崎氏が守護=上ノ国町周辺)、松前(大館館主の下国氏が守護=松前町周辺)の三守護職の支配下となります。

上ノ国町という町名は、花沢館を居館とした上ノ国という中世の領域がそのまま町名に使われているのです。
花沢館は天の川の河口南岸(現・国道228号沿い)に位置していました。

夷王山の麓、天の川の河口・大澗湾は天然の良港で、古代から中世に至るまで、この湊が蝦夷地に入植した和人の貿易の舞台となっていたのです。

お花畑広がる夷王山山頂は、道南屈指の絶景ポイント

夷王山墳墓群と夷王山

標高159.1mの夷王山山頂は、天の川の河口を眼下に、日本海に浮かぶ奥尻島と大島、小島の島影、熊石方向へ延びる海岸線を一望にする道南屈指の絶景の地。
山頂の鳥居は、松前氏の祖である武田信広を祀る夷王山神社。
1494(明応3)年に勝山館で死去した武田信広は、この夷王山に埋葬されているのです。

夷王山一帯は檜山道立自然公園に指定され、草原となった夷王山山頂一帯には500種の山野草が茂るお花畑も広がっています。
上ノ国町花であるエゾヤマツツジの名所としても有名で、例年6月が花の見頃。

例年6月第3日曜には『夷王山まつり』が開催され、道南地区ばんば大会(輓馬=馬に重い荷を曳かせる競技)、南北海道歌謡(カラオケ)大会、前日(土曜)には『宵宮祭』が行なわれています。
『宵宮祭』では、上ノ國八幡宮~夷王山神社の間、『たいまつ行列』もあり、上ノ国に夏の訪れを告げる祭りとなっています。

夷王山山頂直下までは国道228号から町道が通じており、山上に広がる勝山館跡にはガイダンス施設が設けられているほか、夷王山キャンプ場も設置されています。
徒歩の場合には、国道228号沿いの「旧笹浪家住宅」(鰊御殿)から、上ノ國八幡宮、上國寺、物見跡、荒神堂跡、虎口、勝山館跡、夷王山墳墓群などを経て夷王山山頂へは徒歩1時間ほど。

夷王山と医王山
夷王山の旧名は医王山。石川県と富山県の県境にある医王山と同名であることから中世の日本海交易の歴史が背後にある地名かもしれません。
夷王山
名称 夷王山/いおうざん
所在地 北海道檜山郡上ノ国町勝山
関連HP 上ノ国町公式ホームページ
ドライブで 函館空港から約91km
駐車場 25台/無料
問い合わせ 上ノ国町水産商工課商工観光グループ TEL:0139-55-2311
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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