北海道茅部郡森町、噴火湾に臨む函館本線・森駅の名物駅弁が、いかめし。元祖「森のいかめし」を名乗るように、戦時下の昭和16年、阿部商店の初代・阿部喜三男の妻・静子が、当時豊漁だったスルメイカに目をつけ、なかにご飯を詰めたのが始まりで、今では渡島半島や函館の郷土料理にまで発展しています。
京王百貨店(東京)の駅弁大会では「殿堂入り」を果たす!
森町は、森駅近くに明治天皇上陸地の碑(明治14年、明治天皇が森桟橋に上陸)が立つように、明治6年に森桟橋が完成、森村と札幌の間に札幌本道(馬車道)が開通するなど(開通当初、室蘭と森村は海上ルートで結ばれていました)、北海道開拓の基地として発展した町です。
海の見える駅として、森桟橋の西側に立地する森駅は、明治36年6月28日、北海道鉄道の駅として開業。
阿部商店は鉄道開通に合わせ、旅館として開業し、駅弁販売をあわせて行なったという老舗です。
戦前は、イワシやスルメイカの豊漁に湧き、これに目をつけてうるち米ともち米の混合したものをスルメイカに詰め、甘辛く煮て「「いかめし弁当」が誕生。
出征兵士なども味わったという、歴史ある駅弁です。
昭和30年代からはデパートでの物産展などにも出店し、実演販売が人気に。
北海道の鉄道旅、そしてバイクツーリングなどで人気を集めて全国区の人気となったのです。
令和元年、京王百貨店(東京)の駅弁大会では、昭和46年の第1回以来、販売個数が50回連続1位で、殿堂入りを果たすなど、その根強い人気ぶりが美味しさ、飽きのこない味の証明になっているのです。
レシピがあるわけでもなく、「味付けは職人の口伝」という手作り感も、今も変わりません(その日の気温や湿度によって味を調節)。
令和2年には3代目社長にBSフジでキャスターを務めた今井麻椰(いまいまや)さん(慶應義塾大学卒業後、カナダに留学)が就任し(後継者もいないことから、会社を売却する話となり、一人っ子だった麻椰さんが家業を継承)、京王百貨店からの持ち掛けによって、「3代目のいかめしde丼!」の開発・発売、さらには「いかめしレトルト」、「いかめしおかき」、いかめしグッズのネット販売の実施なども始まっています。
現在では人気ゆえにレトルトのいかめし、類似品も数多く発売されていますが、家庭的な味と製法が保たれた元祖「いかめし」は、やはりまったく別のもの。
近くのデパートなどの催事で実演コーナー見つけたら、ぜひお買い求めを。
全国の人気駅弁(3)いかめし(阿部商店) | |
関連HP | いかめし阿部商店公式ホームページ |
問い合わせ | いかめし阿部商店 TEL:01374-2-2256 |
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