交差点の角にある! 京都名物「いけず石」とは!?

いけず石

「いけず」とは「意地悪」を意味する関西の方言で、京都では交差点の角に歩行者がつまずきそうに、車が擦りそうになる石が置かれている場所がかなりあります。この一見すると邪魔な石が「いけず石」。もともとは中世に荷馬車や牛車が、敷地に入りこまないようにしたものとか。

京都には1万個の「いけず石」があるという説も

いけず石

荷馬車や牛車が家の角にぶつからないように、敷地に入らないようにという合理的な理由があって設置されたという「いけず石」ですが、背景には京都の道路事情があるようです。
古くは平安時代から、遅くとも江戸時代からあったというのがいけず石です。

碁盤の目状になった京の街路ですが、幅員が狭い道が多く、荷馬車や牛車泣かせだったことは容易に想像ができます。
近代になって、荷車が使われるようになっても、交差点の角(コーナー)の回りづらさは変わりなく、車社会ではなおさらぶつかりやすい道路構造です。

実は、「いけず石」、車社会とともにその数が増えているともいわれ、コンクリートで地面に固定されたものもあるなど、まさにいけずな感じです。

大阪にもありますが、京都に数多く、いけず石誕生、発展の歴史、経緯は実はよく分かっていません。
しかも京都市内でも実際には分布に偏りがあるとのことで、なにか京の風土にも関連しているという可能性もあります。

そんないけず石に注目したのが、京大文学研究科・都市地理学の埴淵知哉(はにぶちともや)准教授。

埴淵知哉准教授は、市民と一緒に研究を進める「シチズンサイエンス」の手法を取り入れ、デジタル地図事業を手がける「ジオテクノロジーズ」(東京都)との共同研究で、京都市民に交差点のそれぞれの角をスマホで写真に収め、投稿してもらう市民参加の調査を2024年10月中旬にスタートさせています。
「ジオテクノロジーズ」の提供するアプリ「GeoQuest」(通称・ジオクエ)を活用し、研究に必要なデータを広範囲に大量収集しようという試みです(投稿すると、デジタルギフトなどがもらえるポイントが付与)。
今回の調査は、京都市街中心部の上京、中京、下京の3区にある交差点4800ヶ所を対象に、2024年10月中旬〜12月末の調査期間にほぼすべての交差点の角を収めた写真が集まっています。
「地域らしさの可視化」は、地域の個性や魅力を発見する機会にもつながるとのこと。

ちなみに、いけず石の「いけず」には意地悪という意味合いのほかに、「この先には行けず」の意味合いもあるという説もあり、研究の成果が待たれるところ。
京都には1万個はあるという説もあり、地元の観光タクシーの運転手も「頭の中に入っていてなるべく避けて走っている」とのこと。

最近置いた人は、「これまで何度も家に車がぶつかったので、設置した」と解説。
何度も戦乱に巻き込まれてきた京都人は、未然に争いを防ごうという意識が高く、その意識がいけず石を生んだという説にもうなづけます。
また、京都ではその場所で何代にもわたって続く近所づきあいがあり、その関係を維持するためにもいけず石が必要とも。

2024年にはSNSに数多く、いけず石の本まで出版され、注目されるいけず石。
京都の町を歩くなら、ぜひこのいけず石に注目を。

いけず石
こんな邪魔な「いけず石」も
交差点の角にある! 京都名物「いけず石」とは!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ