現存する日本最古の飛行塔が、生駒山上遊園地で活躍中!

生駒山上遊園地

日本初の民間航空専用空港「東京飛行場」(現在の羽田空港)が誕生したのは昭和6年8月25日で、昭和初期、飛行機での旅は、夢のまた夢という時代でした。生駒山上遊園地(奈良県生駒市)で現役で稼働する飛行塔は、羽田空港誕生以前の昭和4年の設置。戦時下での金属供出を逃れ、現存する日本最古の大型アトラクションとなっています。

昭和4年開設の飛行塔が金属供出を免れ、現役で活躍中!

生駒山上遊園地

近鉄の前身にあたる大阪電気軌道が、昭和4年の生駒山に登るケーブルカー山上線(近鉄生駒鋼索線山上線)の開業とともに、山頂駅近くに開園したのが生駒山上遊園地(大阪市街や奈良盆地に比べ3度〜5度低い気温のため、開園時のキャッチフレーズは「夏の寒冷線」)。
ケーブルカーにしてもアジアでは香港にしかない時代で、電気技術者で大阪電気軌道の取締役・大戸武之は海外を視察し、大正7年に鳥居前~宝山寺間(現・近鉄生駒鋼索線山麓線)にケーブルカーを敷設、物珍しさもあって集客は好調で、それに続いて山上線と生駒山上遊園地を開業したのです。

大阪府と奈良県境に位置し、標高642mの山頂という眺望を活かし、さらに高さ30mもの飛行塔を設置したので、当然大きな話題となりました。
中心にある鉄骨を組んだタワー部分から4本のアームが伸び、そこに吊るされた複葉機型のゴンドラが回転しつつ上下するというもので、直径20mという大きさを誇っています。
眺望も優れ、晴れていれば淡路島まで目に入ります。

当時の旅行といえば、寺社参詣や温泉地、そして花見が主体で、私鉄の開業とともに沿線には直営のヘルスセンターや遊園地が築かれるようになりました。

昭和6年には浅草・松屋百貨店の屋上に、日本で最初の屋上遊園地が誕生しているので、庶民のレジャーとして遊園地が注目されていたことがよくわかります。

飛行塔は、「大型遊戯機械の父」・土井万蔵(大型遊具の国産化を手掛けた技術者)率いる土井文化運動機製作所(大正7年創業、昭和34年に関西娯楽に、平成元年タップスと改称、伏見桃山城キャッスルランド閉園後の平成15年に廃業)の製作。
日本で最初の飛行塔は、大正9年、北大阪電気鉄道が鉄道の開業に先駆けて千里山花壇(後の千里山遊園、昭和25年閉園)を開設、現在の関西大学第3学舎あたりに設置したもので、当然、土井文化運動機製作所製作。
昭和5年には、京都・愛宕山山上の愛宕山遊園地にも飛行塔を設置し、愛宕山鉄道(ケーブルカー)とセットで人気を集めたことから、山上の遊園地に飛行塔というのは、この時代のシンボル的な存在の大型遊具だったことがわかります(生駒山上遊園地の飛行塔は、16基目の設置で、1基〜15基は現存していません)。

 「生駒の聖天さん」として信仰を集める宝山寺、さらに京都・愛宕神社のへの登山ケーブルの敷設、遊園地の開業とそのシンボルとなる飛行塔の設置というのは、電鉄経営の戦略のひとつだったのです。

生駒山上遊園地の飛行塔は、鉄塔の上部を展望台にするというユニークな設計。
実はこの設計にはカラクリがあり、アームに下がるゴンドラが下降するとエレベーターが上昇するという省エネ設計になっていて、展望台としても人気を集めたのです。

その展望台機能を戦時下には軍部が注目し、紀淡海峡までを視野にいれる海軍航空隊の防空監視所として機能したことから、ケーブルカーは海軍専用路線、飛行塔は金属供出を免れて(ゴンドラとエレベーターのみ撤去)、戦後へと引き継がれ、今も現役で活躍しているのです。

生駒山上遊園地
現存する日本最古の飛行塔が、生駒山上遊園地で活躍中!
名称 生駒山上遊園地/いこまさんじょうゆうえんち
所在地 奈良県生駒市菜畑町2312-1
関連HP 生駒山上遊園地公式ホームページ
電車・バスで 生駒ケーブル生駒山上駅から徒歩5分
駐車場 生駒山上遊園地駐車場(有料)
問い合わせ 生駒山上遊園地 TEL:0743-74-2173/FAX:0743-74-2174
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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