太古は珊瑚礁の海だったという岩手県岩泉町にある総延長2万3702mで、日本一長い鍾乳洞が安家洞(あっかどう)。国の天然記念物に指定されるほか、龍泉洞とともに三陸ジオパークのジオサイトにもなっています。観光洞窟として4月中旬~11月下旬の間、入口から500m地点の千枚皿までが公開されています。
「校長先生の泣きどころ」などが目印に
2位の秋芳洞(11.2km/山口県)の倍以上長さを誇る日本一長大な鍾乳洞、安家洞。
主洞は東本洞、西本洞、奥本洞に分けられ1000ヶ所もの支洞が確認され、まさに内部はダンジョンのように複雑です(日本でも数少ない迷宮型鍾乳洞)。
洞穴の生成発達過程が分かるなどの理由で国の天然記念物に指定されています。
長さ日本一というこの安家洞、実は民営で、安家洞観光の工藤榮吉社長と妻の二人三脚で営み、土地は工藤さんの兄が地主。
華美な電飾を施さず、元の状態を生かすというのが基本方針で、観光洞ながら、美しい鍾乳石などがそのままの状態で保たれています。
500mの間にも「校長先生の泣きどころ」、一の関、二の関、三の関と狭い部分が続くので、入口でヘルメットを貸し出してくれます。
神殿、一角サイ、ペンギン岩を見たらUターンです。
「校長先生の泣きどころ」は、そのネーミングからSNSでも話題になったポイントで、昭和30年頃、小学校の校長先生が子供達数人を連れて安家洞へ遊びに入り、遊び終えて出口に戻ったら「校長先生がいない」ので、消防団を頼み救助活動を行なったら、この場所で校長先生がしゃがみこんで泣いていたという話です。
当時は村人たちの遊び場で、照明もなく、支洞が多いため迷いやすく、子供は記憶力がいいために出口に戻れたものの、年配の校長先生は子供たちとはぐれて、途方に暮れていたというのが真相です。
その後、村中で、「校長先生にもなる人が迷って泣いていた」と話題になったのだとか。
目印のない迷いやすかった洞内で、「校長先生の泣きどころ」、一の関、二の関、三の関は貴重な目印となり、「今でも照明の修理などでは目印として活用されている」とのこと(現在でも入洞者が特徴的な岩や場所などに呼び名を付け、採用されるケースも)。
洞内の気温は8度前後なので(盛夏でも9度くらい)、真夏でも長時間洞内にいる場合は上着がほしいくらい。
安家洞は、ほとんどすべての型の鍾乳石が見られるため「鍾乳石の博物館」とも呼ばれています。
予約で「地底ガイド」とともにさらに奥を探検できます。
龍泉洞、安家洞一帯は太古(中生代ジュラ紀)、南洋のサンゴ礁や石灰質の殻を持つ生物の死骸などでできた安家石灰岩で形成されています(プレートの移動で日本列島に)。
石灰岩を、二酸化炭素を含む雨水などが気の遠くなるような長い年月をかけて溶かし続けて、誕生したのが鍾乳洞です。
石灰岩は炭酸カルシウムでできていますが、これは太古のサンゴ礁。
古生代から中生代にかけて一帯は温暖な海だったことがわかります。
三陸にはこのほか、洞内に高低差29mの滝が落ちる滝観洞(住田町)、縄文時代の住居跡である関谷洞窟住居跡(大船渡市)、冬には氷筍が成長する内間木洞(久慈市)などがあります。
岩泉町周辺でおすすめの宿は!?
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風呂は温泉ではなく光明石温泉(人工温泉)。
夏休みには流水プールも営業するので、ファミリーの滞在にもおすすめです。
安家洞 | |
名称 | 安家洞/あっかどう |
所在地 | 岩手県下閉伊郡岩泉町安家日蔭161-1 |
関連HP | 安家洞公式ホームページ |
ドライブで | 東北自動車道盛岡ICから約106km |
駐車場 | 100台/無料 |
問い合わせ | 安家洞 TEL:0194-24-2011 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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