JR西日本は、2022年4月11日、「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」と題して線区別の経営状況に関する情報の開示が行なわれました、営業係数(100円の収入を得るためにいくら必要だったか)ワーストは芸備線・東城~備後落合でなんと2万6906円。赤字TOP10(実はワースト10ですが)を紹介しましょう。
100円の収入を得るのに2万6906円かかる線区も
今回、収支情報の開示対象となったのは、2019年度、1日平均の輸送密度が2000人以下という線区。
営業係数は、100円の営業収入を得るのに、どれだけの営業費用を要するかを表す指数なので、100を切れば黒字路線ということに。
大阪環状線は60弱といわれていて、100円の営業収入を得るのに60円ほどかかっていることがわかります。
逆に営業係数のワーストは、芸備線・東城駅~備後落合駅で、100円の収入を得るために2万6906円をかけて運転しているのです。
1日あたりの平均通過人員も分割民営化時(1987年)には476人だったのが、9人まで激減。
芸備線に関しては備中神代~備後庄原の68.5kmを対象に全国初の「再構築協議会」が始まっていて、存続をめざす広島・岡山の沿線自治体と、代替交通への転換を打ち出すJR西日本の話し合いが進められています。
芸備線、木次線は、超赤字で運行される路線なので、実はJR西日本管内で最も贅沢で、乗り得な路線ともいえるでしょう。
単純計算すると、東城駅~備後落合駅間の乗車券は510円。
この510円を稼ぎ出すために、JR西日本は13万7221円を費やしていることになり、ある意味「TWILIGHT EXPRESS 瑞風 MIZUKAZE」、「WEST EXPRESS 銀河」に乗るよりも贅沢な空間の乗り物なのかもしれません。
JR西日本 赤字ローカル線 TOP10
順位 | 線名 | 区間 | 営業キロ | 収支率 | 営業係数 | 平均通過人員 1987年(人/日) 2020年(人/日) |
1位 | 芸備線 | 東城駅~備後落合駅 | 25.8km | 0.4% | 2万6906 | 476人 → 9人 |
2位 | 木次線 | 出雲横田駅~備後落合駅 | 29.6km | 1.2% | 8119 | 279人 → 18人 |
3位 | 芸備線 | 備後落合駅~備後庄原駅 | 23.9km | 1.9% | 5260 | 725人 → 63人 |
4位 | 芸備線 | 備中神代駅~東城駅 | 18.8km | 2.5% | 3994 | 504人 → 80人 |
5位 | 大糸線 | 南小谷駅~糸魚川駅 | 35.3km | 2.9% | 3431 | 987人 → 50人 |
6位 | 福塩線 | 府中駅~塩町駅 | 54.4km | 3.2% | 3101 | 3101人 → 150人 |
7位 | 因美線 | 東津山駅~智頭駅 | 38.9km | 4.6% | 2194 | 1551人 → 132人 |
8位 | 姫新線 | 中国勝山駅~新見駅 | 34.3km | 5.7% | 1750 | 702人 → 132人 |
9位 | 加古川線 | 西脇市駅~谷川駅 | 17.3km | 5.7% | 1745 | 1131人 → 215人 |
10位 | 山陰線 | 益田駅~長門市駅 | 85.1km | 6.1% | 1651 | 1663人 → 238人 |
JR西日本 赤字ローカル線 TOP10 | |
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