JR西日本は、2025年10月29日、「輸送密度2000人/日未満の線区別経営状況に関する情報開示」と題しての線区別の経営状況(2022年〜2024年度平均)の開示を実施。営業係数ワーストは芸備線・東城~備後落合で9945円。赤字TOP10(実はワースト10ですが)を紹介しましょう。
営業係数が最も悪いのは芸備線(東城駅~備後落合駅)

営業係数(えいぎょうけいすう/operation ratio, operating ratio)とは、100円の営業収入を得るのに、どれだけの営業費用を要するかを表す指数。
まさにその線区の採算具合を表す指標です。
トータルしての赤字額とは異なりますが、1人あたりの輸送コストが明らかになることで、存廃の目安ともなっています(大阪環状線は60弱といわれています)。
JR西日本管内では、「輸送密度2000人/日未満の線区」ということで、19路線32線区が対象で、昨年のトップは、芸備線(東城駅~備後落合駅)で営業係数1万1766円でしたが、2025年も同線区が収支係数が最も悪い路線ではあるものの、少し改善して9945円となっています。
ただし1日あたりの平均通過人員は前年の20人から19人に減少しています。
つまりは、「過去3年間」という統計の取り方のトリックで、前年度のデータにはコロナ禍の2019年度が含まれていたため、データが悪かっただけということに。
芸備線再構築協議会が結成され(2023年10月、JR西日本が、地域交通法に基づき、備後庄原駅~備中神代間における再構築協議会の設置を要請)、2025年からは臨時列車の運行、平日夕方のダイヤ変更・延長運転などの実証実験が行なわれているので、その結果が反映されるのは来年度以降ということに。
2位の姫新線(きしんせん)中国勝山駅~新見駅は収支が悪化し、4042円が4510円になっています。
全体の順位に大きな変動はありませんが、山陰線(益田駅~長門市駅)が前年度11位から6位に悪化しています。
ただし、輸送人員に大きな変化がないことからメンテナンス費用の増大を反映しています。
JR西日本 赤字ローカル線 TOP10|2025
| 順位 | 線名 | 区間 | 営業キロ | 収支率 | 営業係数 (円) | 平均通過人員 1987年(人/日) 2024年(人/日) |
| 1位 | 芸備線 | 東城駅~備後落合駅 | 25.8km | 1.01% | 9945 | 476人 → 19人 |
| 2位 | 姫新線 | 中国勝山駅~新見駅 | 34.3km | 2.2% | 4510 | 702人 → 99人 |
| 3位 | 木次線 | 出雲横田駅~ 備後落合駅 | 29.6km | 2.7% | 3725 | 279人 → 23人 |
| 4位 | 芸備線 | 備後落合駅~ 備後庄原駅 | 23.9km | 3.4% | 2903 | 725人 → 76人 |
| 5位 | 芸備線 | 備中神代駅~東城駅 | 18.8km | 3.7% | 2692 | 504人 → 81人 |
| 6位 | 山陰線 | 益田駅~長門市駅 | 85.1km | 4.5% | 2227 | 1663人 → 210人 |
| 7位 | 大糸線 | 南小谷駅~糸魚川駅 | 35.3km | 4.7% | 2132 | 987人 → 150人 |
| 8位 | 福塩線 | 府中駅~塩町駅 | 54.4km | 4.7% | 2117 | 3101人 → 158人 |
| 9位 | 因美線 | 東津山駅~智頭駅 | 38.9km | 4.9% | 2054 | 1551人 → 137人 |
| 10位 | 越美北線 | 越前花堂駅~ 九頭竜湖駅 | 52.5km | 5.3% | 1882 | 772人 → 325人 |
| 次点 | 加古川線 | 西脇市駅~谷川駅 | 17.3km | 5.7% | 1758 | 1131人 → 293人 |
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