「日本一のミニ鉄道」紀州鉄道が、廃止の危機に直面!

紀州鉄道

和歌山県御坊市を走る紀州鉄道は、路線延長2.7km、5駅のしかなく、通しで乗車しても8分ほどという「日本一のミニ鉄道」(非電化)。相互乗り入れもありませんでしたが、「ミニ鉄道」ゆえに存続ができたともいわれてきました。そんな紀州鉄道が、経営する会社の変更で、いよいよ廃止かと噂されています。

近年の紀州鉄道の赤字額は年間で5000万円程度

紀州鉄道
のどかな沿線風景

紀州鉄道という名を聞いたことがある人は、実は旅好き、あるいは不動産投資に関心のある人でしょう。
収入の大部分は、北軽井沢、那須高原、南紀白浜などに展開するホテル・リゾート事業。
さらに軽井沢や塩嶺高原(岡谷市)で展開する不動産(別荘)事業が核となり、慢性的に赤字の鉄道事業は、その収入で補填されてきたのです。

御坊市によると、2024年度の乗客総数は9万2205人で、1日平均252人。
25年前と比べて33%減っていて、減少に歯止めがききません。
2022年度の営業収益は1209万円、営業費用は6071万円で5000万円弱の赤字を計上しています。

大きな転換期は、2021年に中国系企業のポリキングの翼下になったこと。
2021年の紀州鉄道の赤字額は7300万円に達しており、不動産投資が目的で紀州鉄道を買収した企業にとって、鉄道事業は大きなお荷物です。
地元では「御坊の象徴」といわれる紀州鉄道ですが、実際に利用するのは学生など市民の1割ほどというのが現状。
すでに公共交通機関としての意義も薄れつつある鉄道を、リゾート・ホテル事業と不動産を軸足とする中国系企業が存続させる理由もありません。

2025年11月、紀州鉄道が鉄道事業の廃止および事業譲渡を検討していることが報じられ、もし譲渡先が見つからない場合には2026年中に廃止したい意向を示しています。
もし、譲渡先に関して手応えがあるなら、譲渡するまでは存続させるという方針も示しているので、まずは赤字を生み出す「日本一のミニ鉄道」を再生しようという買い手が現れるのかどうか。

経営難に陥った地方の公共交通事業(私鉄やバス会社など)の事業再生請負人として知られ、和歌山電鐵を見事に再生させた両備グループ、あるいは福島交通(福島県)や茨城交通(茨城県)など、経営難に陥った地方の交通機関の経営改善と再生を手助けするみちのりホールディングス(持株会社)が「買い手」としての候補ですが、はたして。
今のとこととくに目立った動きはありません。

このまま推移すると2026年中に廃止ということになりますが、はたして。

紀州鉄道
紀州鉄道軽井沢ホテルの列車村コテージ
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西御坊駅

西御坊駅

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