神奈川県足柄下郡箱根町、宮ノ下温泉にある老舗の煎餅(せんべい)製造元が川辺光栄堂。明治12年の創業以来作り続けている鑛泉煎餅(こうせんせんべい)が目玉商品です。鑛泉(鉱泉)とは、ミネラルウォーターのこと。日持ちすることから富士屋ホテルを訪れる外国人たちの人気みやげになっていたのです。
富士屋ホテル創業、温泉の科学的分析が生んだ煎餅
吟味した小麦粉、砂糖、卵に、箱根の湧水を加えて練り上げる作業は、すべて昔ながらの手作り。
サクサクッとした歯触りと、ほんのりとした甘さが人気の秘密になっています。
今も円筒のブリキ缶入りで、KOSEN SEMBEI、KOYEIDOという欧文表記、缶のデザインも昔のままでレトロ。
日本で初めての本格的なリゾートホテルとして富士屋ホテルが創業したのが明治11年7月15日。
明治20年にようやく、塔ノ沢・宮ノ下間道路(富士屋ホテルが私費で建設した有料の人力車道)が開削され、外国人は椅子に棒をくくりつけ、4人~6人の人夫によって担ぐ「チェア」で富士屋ホテルを訪れるようになったという時代です。
そんな時代に創業したのが川辺光栄堂で、今に続くのが「鑛泉煎餅」なのです。
関東では、明治6年、温泉の科学的な成分分析を背景に、群馬県衛生局が磯部温泉の食用への加工を認めたことで磯部煎餅が誕生したのが「温泉煎餅」の始まり。
そうした明治の文明開化と、開港後の横浜に居留した外国人の箱根への行楽が、鑛泉煎餅を生み出したのです。
川辺光栄堂 | |
名称 | 川辺光栄堂/かわべこうえいどう |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下184 |
電車・バスで | 箱根登山鉄道宮ノ下から徒歩5分 |
ドライブで | 小田原厚木道路箱根口ICから約9km |
駐車場 | 宮ノ下駐車場(46台/30分まで無料、以降有料)を利用 |
問い合わせ | 川辺光栄堂 TEL:0460-82-2015 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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