サイトアイコン ニッポン旅マガジン

鞍馬寺

鞍馬寺

京都府京都市左京区の北東部、鞍馬山(標高584m)の山上に建つ鞍馬弘教総本山が鞍馬寺(くらまでら)。寺に伝わる『鞍馬蓋寺縁起』(あんばがいじえんぎ)によれば、宝亀元年(770年)に渡来僧・鑑真(がんじん)の弟子、鑑禎(がんてい)が草庵を結び、毘沙門天を本尊として奉安したのが起こり。

「近うて遠きもの、くらまのつづらをりといふ道」

平安時代には、京の鬼門守護の寺として信仰を集めた名刹。
藤原道長、藤原頼通、藤原師通などの尊崇を受け、清少納言は、『枕草子』に九十九折り参道を「近うて遠きもの 宮のべの祭り。思はぬはらから、親族(しぞく)の仲。鞍馬のつづらをりといふ道」と記し、『更級日記』(菅原孝標の女)には、「春ごろ、鞍馬にこもりたり。山際霞みわたりのどやかなるに、山の方(かた)より、わづかにところなど掘りもて来るもをかし。」と鞍馬参籠の様子が描かれています。

平安時代末には、牛若丸(源義経)が、鞍馬寺の別当・東光坊阿闍梨(とうこうぼうあじゃり)の蓮忍(れんにん)に預けられ、 禅林坊阿闍梨覚日(かくじつ)​の弟子となり、遮那王を名乗って修行しています。

戦国時代には、武田信玄、豊臣秀吉、徳川家康などが戦勝祈願を行ない、豊臣秀頼が境内にある由岐神社拝殿を再建しています。

往時には参道に十院九坊(十院=真勝院・月性院・妙寿院・宝積院・大蔵院・吉祥院・戒光院・歓喜院・円光院・福生院、九坊=普門坊・松円坊・妙覚坊・薬師坊・本住坊・乗円坊・梅本坊・実相坊・蔵之坊)と称される塔頭(たっちゅう)が並んでいましたが、文化11年(1814年)の火災、そして明治初年の神仏分離、廃仏毀釈の荒波で衰退しています。

本殿、金堂などの諸堂は度重なる火事で焼失し、明治期以降に再建されたもの。
現在の鞍馬弘教(くらまこうきょう)は、千手観音、毘沙門天、護法魔王尊の三尊を「尊天」として尊崇する宗教です。

本堂前の石畳に三角形の石が並べられた金剛床は、宇宙のエネルギーを受け取る「六芒星」で、中央にある三角は千手観音、毘沙門天、護法魔王尊を表しているので、踏まないようにご注意を。

境内に建つ「鞍馬霊宝殿」の1階は自然科学博物苑展示室、2階は寺宝と与謝野晶子の遺品を展示、3階は国宝の木造毘沙門天立像、木造吉祥天立像、木造善膩師童子(ぜんにしどうじ)立像の三尊像などの仏像奉安室となっています。
とくに、鞍馬山独自の信仰を生んだ、地層、気候は、自然科学博物苑展示室で学ぶことができます。

開祖・鑑禎上人が、寅の月・寅の日・寅の刻に鞍馬の地を夢で教えられたことから、毎月1日、7日、14日と寅の日(新年始めての寅の日は、「初寅大祭 」、12月最後の寅の日が「おさめの寅」です)が縁日。
狛犬ももちろん阿吽(あうん)の「狛虎」となっています。

鞍馬寺
名称 鞍馬寺/くらまでら
所在地 京都府京都市左京区鞍馬本町1074
関連HP 鞍馬寺公式ホームページ
電車・バスで 鞍馬山ケーブル多宝塔駅から徒歩40分
ドライブで 名神高速道路京都南ICから約20kmで鞍馬ケーブル鞍馬山門駅
駐車場 仁王門周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 鞍馬寺 TEL:075-741-2003
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

大杉権現社・大杉苑瞑想道場

京都府京都市左京区の霊山、鞍馬山(くらまやま)。鞍馬山奥の院参道を山中へ進む途中にあるのが大杉苑瞑想道場(おおすぎえんめいそうどうじょう)。鞍馬寺から奥の院魔王殿を目指し、地表に露出した木の根が不思議なアラベスク模様をした木の根道を歩き、そ

僧正ガ谷(不動堂・義経堂)

京都府京都市左京区の鞍馬山山中にある鞍馬寺。鞍馬寺・本殿金堂から奥の院魔王殿を目指して歩き、木の根道を歩き、大杉権現社を越え、奥深い鞍馬山山中に入り込んだ場所にあるのが僧正ガ谷で、不動堂、義経堂という2つの堂が建っています。一帯は僧正ガ谷と

鞍馬寺・奥の院魔王殿

京都府京都市左京区の鞍馬山にある毘沙門天王、千手観世音菩薩、護法魔王尊(ごほうまおうそん)を祀る鞍馬寺(くらまでら)。鞍馬寺の中心的な霊域となるのが、奥の院魔王殿。鞍馬寺の解説では、魔王尊が650万年前に地球救済のために、金星から降り立った

由岐神社

京都府京都市左京区の鞍馬山にある、京の鬼門鎮護の鞍馬寺(くらまでら)。清少納言が「近うて遠きもの」の例にあげた九十九折参道途中にある由岐神社は、天慶3年(940年)、天慶の乱(てんぎょうのらん)が勃発した際、朱雀天皇の勅により、御所に祀られ

鞍馬山ケーブル

京都府京都市左京区、鞍馬山の山中にある鞍馬寺への参詣者輸送のために設けられたケーブルカーが鞍馬山ケーブル。正式名は鞍馬山鋼索鉄道(くらまやまこうさくてつどう)で、鉄道事業法による認可を受けた日本で唯一の宗教法人が運営しているケーブルカー。日

日本一短い鉄道は、お寺が経営!

鋼索鉄道(ケーブルカー)、案内軌条式鉄道(新交通システム)、懸垂式鉄道(モノレール) 跨座式鉄道(モノレール) など、鉄道事業法で「鉄道」と定められたなかで、日本一短い鉄道は、事業母体はお寺です。それが京都市左京区で、宗教法人鞍馬寺が運行し

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

モバイルバージョンを終了