ループ橋は、高度差をらせん状の道で克服する有効な手段です。九州では巨大カルデラによる高度差をループ橋で克服する場所があります。カルデラ(caldera)とは火山の爆発で生じた凹部のこと。スペイン語で鍋とか釜の意。鍋の縁(へり)の部分の高度差をループで克服したのが「えびのループ橋(霧の大橋)」です。
まずを「加久藤カルデラ」を知りたい!
熊本県人吉市と宮崎県えびの市の県境、国道221号(肥後街道・飫肥街道)の加久藤峠(かくとうとうげ/堀切峠・標高698m)に架かるのが「えびのループ橋(霧の大橋)」。
加久藤峠は東西15km、南北5kmの加久藤カルデラの外輪山にあたります。
加久藤カルデラ(加久藤盆地)は、52万年前の大噴火で誕生した凹部(噴火年代には諸説あり確定していません)。
火山による大災害を描いた小説家・石黒耀氏のベストセラー小説『死都日本』でもこの加久藤カルデラが描かれています。
加久藤とのネーミングは、薩摩藩編纂の『三国名勝図会』に「加久藤城は久藤城(ひさふじじょう)だったが、松齢公(島津義弘のこと)がこの城に居る時に加の字を添えて加久藤と名前を改められた」とあり、島津義弘に由来。
島津義弘は、正室(広瀬氏)と嫡子の鶴寿丸(つるひさまる)という妻子を住まわせるため城を整備し名を改めたのです。
巨大ループ橋でカルデラを克服
加久藤カルデラの北側にカルデラ外輪山である矢岳高原、南側のカルデラ南縁には天孫降臨伝説の地、霧島山が聳えています。
外輪山北側(熊本県側)の傾斜は比較的緩やかですが、南側(宮崎県えびの市側)の加久藤盆地(えびの盆地=カルデラの陥没側)は急崖となって、かつては交通の難所として知られていました。
国道221号は、昭和52年に熊本県側の人吉市に、「人吉ループ橋」が、昭和54年に宮崎県側のえびの市に「えびのループ橋」が架けられて外輪山の標高差を克服、加久藤トンネルで加久藤峠を越えています。
えびの市の標高は230m、加久藤トンネルの宮崎県側入口の標高が570mですから、標高差340mをループしながら一気に稼いでいます。
併走する肥薩線はスイッチバックで高度を稼いでいます。
肥薩線の真幸駅〜矢岳駅間の矢岳越えの車窓は、日本三大車窓の一つに数えられるますが、えびのループ橋からの眺めもこれに劣らずの絶景です。
現在、九州自動車道の開通で、ループ橋の交通量は減っていますが、ループゆえの急カーブのためスピードの出しすぎには充分注意して安全走行を。
日本ループ橋総覧(5)えびのループ橋(霧の大橋) | |
所在地 | 宮崎県えびの市東川北 |
場所 | えびのループ橋(霧の大橋) |
ドライブで | 九州自動車道えびのICから約4.7km |
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