サイトアイコン ニッポン旅マガジン

【日本ループ橋総覧5】えびのループ橋(霧の大橋)

えびの盆地から見上げるえびのループ橋(霧の大橋)。外輪山にへばり付くように造られていることがよくわかる

ループ橋は、高度差をらせん状の道で克服する有効な手段です。
日本列島には各地に複雑な地形がありますが、九州ではカルデラによる高度差をループ橋で克服する場所が何ヶ所もあります。
カルデラ(caldera)とは火山の爆発で生じた凹部のこと。スペイン語で鍋とか釜の意。
鍋の縁(へり=カルデラ内壁)の部分の高度差をループで克服したのが「えびのループ橋(霧の大橋)」です。

「加久藤カルデラ」を知りたい!

宮崎県と熊本県の県境、国道221号(肥後街道・飫肥街道)の加久藤峠(堀切峠・標高698m)に架かるのが「えびのループ橋(霧の大橋)」。
加久藤峠は東西15km、南北5kmの加久藤カルデラの外輪山にあたります。
加久藤カルデラは、52万年前の大噴火で誕生した凹部(噴火年代には諸説あり確定していません)。
ちなみに、火山による大災害を描いた小説家・石黒耀氏のベストセラー小説『死都日本』でもこの加久藤カルデラが描かれています。
ちなみに加久藤とのネーミングは、薩摩藩編纂の『三国名勝図会』に「加久藤城は久藤城(ひさふじじょう)だったが、松齢公(島津義弘のこと)がこの城に居る時に加の字を添えて加久藤と名前を改められた」とあります。島津義弘は、正室(広瀬氏)と嫡子の鶴寿丸(つるひさまる)という妻子を住まわせるため城を整備し名を改めたのです。

矢岳高原からのえびの盆地の絶景は、同時に「加久藤カルデラ」を眺めることになります

巨大ループ橋でカルデラを克服

カルデラの北側にカルデラ外輪山である矢岳高原、南側のカルデラ南縁には天孫降臨伝説の地、霧島山が聳えています。
外輪山北側(熊本県側)の傾斜は比較的緩やかですが、南側(宮崎県えびの市側)の加久藤盆地(えびの盆地=カルデラの陥没側)は急崖となって、かつては交通の難所として知られていました。

国道221号は、昭和52年に熊本県側の人吉市に、「人吉ループ橋」が、昭和54年に宮崎県側のえびの市に「えびのループ橋」が架けられ、加久藤トンネルで峠を越えています。

えびの市の標高は230m、加久藤トンネルの宮崎県側入口の標高が570mですから、標高差340mをループしながら一気に稼いでいます。
ちなみに併走する肥薩線はスイッチバックで高度を稼いでいます。肥薩線の真幸駅〜矢岳駅間の矢岳越えの車窓は、日本三大車窓の一つに数えられるますが、えびのループ橋からの眺めもこれに劣らずの絶景です。
現在、九州自動車道の開通で、ループ橋の交通量は減っていますが、ループゆえの急カーブのためスピードの出しすぎには充分注意して安全走行を。

えびの盆地から見上げるえびのループ橋(霧の大橋)。外輪山にへばり付くように造られていることがよくわかる


えびのループ橋(霧の大橋)

2019年9月27日
 

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

モバイルバージョンを終了