宮城県刈田郡蔵王町、蔵王エコーラインの宮城側入口に湧く、歴史ある山の出湯が遠刈田温泉(とおがったおんせん)。蔵王連峰の東麓を流れる松川河畔の河岸段丘面、標高300mに湧く温泉地。開湯は慶長6年(1601年)、金の採掘中に発見されたと伝えられています。
蔵王参詣の拠点として発展した温泉地で、こけしは温泉土産
遠刈田温泉一帯には蔵王火山以前の第三紀の火山活動で形成された金の鉱床があり、仙台城築城の資金となったという岩崎山金山跡などが残されていますが、戦国時代末にそうした金鉱を探す過程で発見されたのが遠刈田温泉です。
蔵王山は平安時代から修験(しゅげん)の地で、火山を鎮める目的で、吉野山(現・奈良県吉野町の金峯山寺蔵王堂)から蔵王権現を勧請、江戸時代には神仏習合の金峰山蔵王寺が建ち、山岳信仰で多くの参詣者を集めていました。
その蔵王参詣の拠点として発展したのが遠刈田温泉で、江戸時代から続く木地師の集落、新地こけし集落は、参詣者のみやげにこけしを制作したのです。
蔵王参詣の出発地として刈田嶺神社(蔵王大権現)里宮(前身は金峰山蔵王寺岳之坊)が建つのは、往時の名残りです。
遠刈田温泉の源泉は、遠刈田7号泉(遠刈田温泉の共同源泉)で、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(pH6.9)。
神経痛、婦人病など、その効能から湯治場としても発展し、温泉街には「壽の湯」と「神の湯」という2つの共同浴場もあり、気軽に日帰り入浴を楽しむことができます。
江戸時代からの歴史を誇る老舗宿もあり、歴史を今に伝えています。
遠刈田製鉄所高炉跡は、あまり知られていませんが、明治41年に完成した日本製鉄遠刈田製鉄所の高炉の土台で、鉄鉱石の入手難や資金不足に直面し、一度も稼動しないまま会社が解散(施設は広島県の山陽製鉄所に売却・移設)、耐火煉瓦で造られた基礎だけが残されています(遠刈田温泉の中心街から徒歩5分)。
蔵王エコーライン入口近くの清水原にある冷水堂の清水は、遠刈田地区の水源。
屏風岳の噴火による火山泥流や土石流が作り出した七日原扇状地は、美しい高原地帯で、蔵王酪農センター(ふれあい牧場ハートランド)があり、牧歌的な景観を楽しむことができます。
イベントとしては8月に歴史ある『遠刈田温泉仮装盆踊り大会』、6月に『とおがった大道芸』が行なわれています。
遠刈田温泉 | |
名称 | 遠刈田温泉/とおがったおんせん |
所在地 | 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉仲町 |
関連HP | 遠刈田温泉旅館ホテル組合公式ホームページ |
電車・バスで | JR白石蔵王駅から宮城交通バス遠刈田温泉・蔵王刈田山頂方面行きで49分、遠刈田温泉下車 |
ドライブで | 東北自動車道白石ICから約16km |
駐車場 | 町営駐車場(50台/無料)など |
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