奈良県橿原市、藤原宮(ふじわらきゅう)を中心に北に耳成山(みみなしやま)、南東に天香久山(あまのかぐやま)、南西に畝傍山(うねびやま)と正三角形に近い形を成す大和三山(国の名勝)。雨乞いが行なわれた聖地というのが標高152.4mの天香久山。世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成資産になっています。
古くから人々に愛でられた美しい山
平成17年、橿原市で初の国の名勝に指定された大和三山のなかでも、もっとも神聖視された山が天香具山。
『古事記』や『日本書紀』、『万葉集』にも「天香具山」と記載されています。
藤原宮の位置を定める際に重要な役割を担った大和三山のうち、古代の人々が特に神聖視していたのが、この天香具山です(「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」には香久山として登録)。
標高152.4m、ほかの2山(耳成山、畝傍山)が単独峰であるのに対し、多武峰(とうのみね)山系から北西へと延びた尾根(竜門山地)の末端が浸食されて誕生した独立丘陵。
天から降ってきたという伝承が残ることから天香具山と呼ばれ、南麓には飛鳥宮跡や飛鳥寺跡などの史跡が点在し、飛鳥時代の中心的な存在ということに。
王権との関係性も強く、『万葉集』にも13首が登場。
なかでも持統天皇の歌「春過ぎて夏来るたるらし白妙の衣ほしたり天のかぐ山」(巻1-28)は有名。
夫、天武天皇を亡くし、その遺志と国家事業を引き継いだ女帝・持統天皇。
藤原宮の大極殿から東南の天香久山を眺めて歌ったもの。
さらに舒明天皇(じょめいてんのう=斉明天皇の夫、天智天皇・天武天皇の父)は、香具山から国土を望み、繁栄を予祝した国見の歌も残されています。
蘇我氏の傀儡(かいらい)とも称される舒明天皇ですが、天香山で天皇の支配を象徴する儀礼、国見を挙行していることがわかります。
山頂に国土形成の神である国常立尊(くにとこたちのみこと)を祀る国常立神社があり、山の北麓には、天香具山神社、南麓には天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)が鎮座し、まさに古代の聖域に。
東麓の万葉の森にある駐車場に車を入れれば15分ほどで山頂に立つことが可能。
近鉄南大阪線・吉野線・橿原線の橿原神宮前駅を起点に大和三山を歩き近鉄大和八木駅まで9km(所要約3時間)のハイキングコースも用意されています。
天香久山 | |
名称 | 天香久山/あまのかぐやま |
所在地 | 奈良県橿原市南浦町 |
関連HP | 橿原市公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄橿原線畝傍御陵前駅・大阪線耳成駅から徒歩20分、またはJR香久山駅から徒歩15分 |
ドライブで | 西名阪自動車道郡山ICから約16.7km |
駐車場 | 万葉の森駐車場・香久山観光トイレ駐車場(無料)を利用 |
問い合わせ | 橿原市観光交流センター「かしはらナビプラザ」 TEL:0744-47-2270 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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