長崎県長崎市のグラバー園に移築された英国人フレデリック・リンガーの遺邸が旧リンガー住宅。明治2年に建てられた外壁石造りの洋風住宅で、国の重要文化財にも指定されています。長崎でグラバー商会に勤務後、独立してホーム・リンガー商会を設立。グラバー没後に、長崎外国人居留地のリーダー的存在となったのがリンガーです。
明治2年築のリンガー邸を移築保存
フレデリック・リンガー(Frederick Ringer)は、若き日にイギリスから東アジアにわたり、中国広東省のフレッチャー商会で茶の鑑定士として活動。
開港後まもない長崎で、「グラバー商会」(「ジャーディン・マセソン商会」長崎代理店)を設立して長崎で貿易業を営んだトーマス・ブレーク・グラバー( Thomas Blake Glover)の要請で元治元年(1864年)に来日したリンガーは、明治元年、独立して同僚のエドワード・Z・ホーム(Edward Zohrab Holme)とホーム・リンガー商会(Holme Ringer & Co.)を設立。
貿易、遠洋漁業、ガス会社、製茶業、製粉業など幅広く事業を展開し、明治から昭和の初期に渡って、長崎の産業発展に貢献しています。
旧リンガー住宅は、明治2年、南山手2番地に建てられた洋館。
リンガー一家が暮らしていた木造平屋建て(外壁石造=木骨石造)、寄棟造り桟瓦葺き住宅をグラバー園に移築保存したものです。
三方をベランダで囲んでいますが、その床石には、ウラジオストックから運んだ御影石が使われています。
邸内にはリンガー率いる投資家グループにより明治30年に建てられた「ナガサキホテル」(ジョサイア・コンドル設計)のカトラリー(NHLの刻印が付いたナイフ、フォーク、スプーン)のセットが展示されています。
これは、平成25年6月、改装中の奈良ホテルで奇跡的に発見され、1セットが長崎市に寄贈されたもの。
ナガサキホテルの閉館(明治41年/日露戦争後に貿易の中心が神戸、横浜両港に移り閉館)直後に奈良ホテルが開業(明治42年)で、金銀食器1600点が移管されたと推測できます。
夜間はライトアップを実施。
リンガーは、長崎外国人居留地のリーダー的存在で、出島和華蘭商館跡に建つ「旧内外クラブ」もリンガー設立の長崎内外倶楽部の社交場。
ちなみに、「長崎ちゃんぽん」で有名なリンガーハットの社名は、リンガーにあやかって名付けられたもの。
画像協力/(一社)長崎県観光連盟
グラバー園・旧リンガー住宅 | |
名称 | グラバー園・旧リンガー住宅/ぐらばーえん・きゅうりんがーじゅうたく |
所在地 | 長崎県長崎市南山手町8-1 |
関連HP | グラバー園公式ホームページ |
電車・バスで | JR長崎駅から正覚寺下行き路面電車で5分、築町で乗り換え、石橋行きで3分、大浦天主堂下下車、徒歩7分 |
ドライブで | 長崎自動車道長崎ICから約4.5kmで市営松が枝町第2駐車場 |
駐車場 | 市営松が枝町第2駐車場(94台/有料) |
問い合わせ | グラバー園管理事務所 TEL:095−822−8223/FAX:095−823−3359 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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