かつて駅弁はホームに「べんとー、べんとー」の声が響く立ち売りの時代がありました。列車の窓が開かなくなり、停車時間の短縮で、全国から立ち売りが消え、定期列車を対象に、立ち売りが行なわれているのは駅弁「かしわめし」が名物のJR九州・折尾駅(福岡県北九州市)、東筑軒のみとなっています。
小南英之さんが、折尾駅のホームに立つ!
鹿児島本線・筑豊本線の最西端の駅でもある折尾駅。
明治24年2月28日、九州鉄道(現・JR鹿児島本線)の駅として開業した歴史ある駅です。
折尾駅西口駅前に本社を構える東筑軒(とうちくけん)は、大正10年7月、折尾駅と直方駅(のおがたえき=筑豊炭田の石炭輸送の拠点駅)で弁当販売開始(もちろん立ち売りも行なわれました)。
創業者は、門司運転事務所の所長をしていた本庄巌水(ほんじょういわみ)で、鉄道員が地元に根付いた駅弁を売り出したのです。
旅好きだった創業者の本庄は、画一的な駅弁から脱却したいと、ソールフード的な駅弁づくりを目指し、この「かしわめし」に行き着いたのです。
「鶏肉以上にご飯が旨い」といわれるのは、秘伝として代々受け継がれ、絶妙な味のスープで炊いているから。
創業当時は「筑紫軒」でしたが昭和30年に株式会社に改組した際に、東筑軒と名前を変えていますが、門司鉄道局(当時)管内の駅弁のリーダー的な存在です。
前身の筑紫軒時代からの名物弁当「かしわめし」を立ち売りするのが、小南英之さん。
折尾駅4・5番のりばで、水・木曜を除く9:15~16:45に弁当が入る10kg以上の木箱を肩からぶら下げ、ホームを行ったり来たりしています(催事などへの出張で立ち売りがない場合も)。
鶏のスープで炊いたご飯に鶏肉と卵をあしらった「かしわめし」は多い日で40個ほど売れるのだとか。
小南英之さんは、2011年8月、53歳で東筑軒に入社。
前任者の退職で休止状態だった折尾駅での立ち売りを、2013年2月に復活させ、還暦を超え嘱託となった今も続けています。
終戦直後には20人ほどもいたという立ち売りで、その当時は1日に2000個を売り上げることもあったとか。
ネット社会で、宅配も「置き配」に移りつつある現代で、こうしたレトロな駅弁の対面販売を目にできるのは実に貴重。
東筑軒では直方駅などでうどん店を出すほか、福岡ドームでの弁当販売も手掛けています。
北九州に旅する際には、ぜひ東筑軒の「かしわめし」をお試しあれ。
東筑軒オンラインショップでは、「冷凍かしわめし」、「東筑軒のかしわうどん」なども販売しています。
今日も、立ち売りの声が響く! JR折尾駅で駅弁「かしわめし」(東筑軒)を購入 | |
所在地 | 福岡県北九州市八幡西区堀川町 |
場所 | JR折尾駅 |
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