大阪府は、「わたしたちの住むまちは海面より下にある」と宣言。「想像してみてください!ここに海水が流れ込んだときの恐ろしさを」と防災意識の向上を呼びかけています。満潮時の平均海水面よりも低い土地が「海抜ゼロメートル地帯」ですが、大阪府には4100haという広大な「ゼロメートル地帯」が存在します。
大阪市には「海抜ゼロメートル地帯」が広がっている!
「海抜ゼロメートル地帯」の面積がもっとも広いのは木曽川・長良川・揖斐川(木曽三川)河口部の濃尾平野ですが、人口の密集度でいえば、東京23区に次ぐのが大阪府と兵庫県にまたがる大阪平野です(東京圏176万人、大阪圏138万人、名古屋圏90万人)。
大阪府内には、大阪湾の平均満潮位以下の「海抜ゼロメートル地帯」が4100haですが、標高0メートル以下の土地も2100haも存在しています。
淀川河口部左岸(南側)には、マイナス2.6mという最低標高の場所があります。
温暖な気候の縄文時代、現在の標高5mあたりまで海だったという縄文海進では、上町台地、天満砂州(大阪湾口を閉ざすように発達した砂州)などを除いて大阪平野はほとんど水没していました。
江戸時代には大阪湾沿いに発達していた干潟が干拓、新田開発が進められたため、大阪湾奥の海岸線は、海側に4kmも前進、さらに明治時代になって埋め立てが進み、人工造成地が誕生しました(明治初年の陸地は、現在の天保山よりも4kmも陸側です)。
人工造成地などの標高は3mほどありますが、内陸部は地下水の汲み上げなどによる地盤沈下もあって「海抜ゼロメートル地帯」が広がっています。
道頓堀川では地盤沈下によって橋が架け替えられた場所があり、川の中に橋脚のみが残されたところがあります。
大阪府大阪市福島区のほぼ全域、此花区東部、西淀川区東部、淀川区西部、北区西部、西区西部、港区東部、大正区北部などが「海抜ゼロメートル地帯」、さらに兵庫県尼崎市南部、西宮市南東部にも広がっています(大阪湾を中心に兵庫県の甲子園球場あたりまでゼロメートル地帯)。
こうした「海抜ゼロメートル地帯」の洪水対策として、河川や海岸部に防潮堤を築き、船の通行のある安治川、尻無川、木津川にはアーチ型の防潮水門3門が築かれ、高潮の際には閉鎖、海水面の上昇による河川の水位の上昇、市街地への浸水を防いでいます(平成30年台風第21号の高潮も水門が防いでいます)。
上流の寝屋川、第二寝屋川、平野川等の河川からの流出や市街地からの排水によって水位が上昇する危険に対しては、淀川と大川(旧淀川)の接続する毛馬に毛馬排水機場を備え、毎秒330立方メートルの水を大川から、淀川へ排水しているのです。
南海トラフ巨大地震の際には、大阪市域の半分が浸水想定区域で、とくに浸水想定地域には昼間人口が多いため(此花区には3m以上の浸水が想定されるエリアもあります)、対策とともに、さらなる防災意識の向上が必要となっているのです(大阪市では 「水害ハザードマップ」を用意)。
実は大阪市は「海面より低い」!? | |
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